研究課題/領域番号 |
01470028
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天然物有機化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
楠本 正一 大阪大学, 理学部, 教授 (30028253)
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研究分担者 |
深瀬 浩一 大阪大学, 理学部, 助手 (80192722)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 免疫増強活性 / 抗腫瘍活性 / 複合糖質 / リポタイコ酸 / リポ多糖 |
研究概要 |
細胞の表層には興味ある生物活性を有する種々の複合糖質が存在する。本研究では細胞表層由来の免疫増強活性糖肪質を対象に、その活性本体の解明を目指す以下の化学的研究を行った。 リポタイコ酸(LTA)はグラム陽性細胞表層に広く分布する両親媒性複合糖質であるが、溶血性連鎖球菌のLTA画分が顕著な抗腫瘍活性を示すことが見出され、注目されてきた。本研究ではその活性本体構造の解明を目的としてこのLTAの推定構造の合成を行った。まずキラルな保護グリセロ-ルをホスホロイミデ-ト法によってリン酸を介して縮合し、光学活性ポリ(グリセロ-ルリン酸)部の合成を完成した。つづいて2分子のグルコ-スとジアシルグリセロ-ルから成る糖脂質部分を立体配置を規制しつつ合成したのち、両者を縮合してLTA構造を化学的に形成することに成功した。今後は合成LTAについて、その部分構造を含めて構造と活性の関係を明らかにする研究を行う計画である。なお本研究の過程で今後の糖質合成における水酸基保護に広い応用が期待できるニトロベンジル基、ピバロイルアミノベンジル基およびアジドベンジル基の新しい利用法を開発した。 BCG菌体に存在する新しい両親媒性の抗腫瘍活性物質については、各種のクロマトグラフィ-や分配法の組合せによって精製を進め、組成分析の結果からこれが新しい型のリポ多糖と呼ぶべきものであることが明らかにした。さらにウシ型結核菌野生株などの近縁菌からも、予め菌体を超音波や細胞壁融解酵素などで処理することによって効率よく類似の物質を抽出することにも成功し、この種の活性物質が広く分布していることを明らかにできた。これらの糖質の活性構造の解明を進めており、今後リポ多糖やペプチドグリカンとの分子レベルでの作用の比較などを行う計画である。
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