研究分担者 |
西河 貞捷 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (40039293)
田端 正明 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (40039285)
近藤 道男 佐賀大学, 理工学部, 教授 (30039250)
白濱 啓四郎 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50039252)
大久保 正夫 佐賀大学, 理工学部, 教授 (30039276)
|
研究概要 |
有明海の北部湾奥部は閉鎖的な海域で多量の河川水が流入するにもかかわらず海域の汚染は少く富栄養化にもなっていない。この理由は湾奥部や流入河川の感潮域に多量に含まれている浮泥がこれら汚物質を吸着捕捉して沈降し底泥となるため海水から除去する機能を持っているためである。この浮泥の起源は河川から供給されるものと干満の潮位差が我国最大の約6mに達し速い潮流のため底泥の粘土質の微粒子が巻き上げられるものである。この粒土質微粒子は主にモンモリロナイトである。 このような特殊環境における化学成分の行動・変化は地球化学的に興味があり、環境保全、水産業のためにも研究結果は貴重な資粒となる。本研究の3年間の成果は次のように要約することができる。 1.主要化学成分:塩分濃度は外海よく1〜2割低い。これは多量の河川水の流入による希釈と考えられる。電気伝導率・Cl^ー,Na^+の濃度も同様である。満潮時には上層,下層の濃度差は殆んどないが干潮時には大きい。干潟の生成で水分の蒸発で小潮から大潮に移る時の海水の濃度は高くなる。また、間隙水(底泥)中のこれら成分の濃度は高い。 2.微量成分:Cu,Mn,Zu,Srなどが海水に含まれこの中でSrの濃度は高い。間隙水中にはこれら成分の濃度はSrは低くMn,Feは高い。 3.富栄養化成分:PO^^<3->__4は好気的条件で浮泥に吸着し嫌気的条件で離脱する。吸着されたリンはAlーP,FeーP,CaーP形で存在する。下層の底泥ほどFe,ーPが少くCaーPが多い。窒素化合物は浮泥への吸着は殆どなく、海水の濃度の減少は藻類の栄養分として消費されると考えられる。また、河口において高濃度になるので河川からの供給が大きいことがわかった。海水,底泥間隙水中にはアミノ酸が存在し、後者の濃度が高い。必須アミノ酸が測定されたことは興味深い。赤潮発生の原因の解明の一つに浮泥に捕捉された赤潮菌が塩分濃度低濃低下で放たれることがわかった。
|