研究概要 |
1.超構造ポルフィリンの合成と酸素添加反応 嵩高いポルフィリンmesoーtetrakis(2ーmethoxyー5,5,8,8ーtetramethy1ー6,6,7,7ーtetrahydroー1ーanthryl)porphirin (略祢AP)をあらたに開拓、熱安定性の高い4種のアトロ-プ異性体を完全に分割し、それらのRu錯体を合成した。ポルフィリン平面に対し上下非対祢な錯体に対し「軸配位子選択性」の問題を検討した。 新種の錯体、テトラキス(2、6-ジフルオロフェニルポルフィリンルテニウム(II) (CO) (NーMeIm)を合成し、その分光的、電気化学的性質と共に、炭化水素に対する酸素添反応の特徴を調べた。 2.抗腫瘍性白金錯体の合成と構造決定 硼酸の安定な結晶性の化合物として、(C^6H^<14>N^2)pt(B^2O^5H^2)・2H^2Oが、(C^6H^<14>N^2)pt(OH)^2と硼酸の反応から得られ、X線結晶解析の結果、B^2O^5H^2^<2ー>と白金原子が6員環キレ-トを形成していることが判明した。類例のない、硼酸の新規化合物である。 一連の二核白金錯体、[PtL^2(slsc)]^2・^<3H>^2O (ここでslacは、スルフォ酢酸陰イオン(2-)、LまたはL^2は1,2ージアミノシクロヘキサン、1,2ージアミノエタン またはアンミン)を合成した。いずれの錯体も、カルボン酸架橋の二核構造を有し、形式的にはzwitterion型の二核錯体である。このうち、ジアミノシクロヘキサンの錯体は二核錯体では珍しく、顕著な抗腫瘍性を示した。
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