研究概要 |
40ー1000MeVの最大エネルギ-(E_0)をもつ制動放射線を用い、Li〜Biにわたる標的核のパイ中間子放出反応、核破砕反応、フラグメンテ-ション反応で生成する放射性核種の収率測定を、小さなE_0間隔で行なった。(1) ^7Li, ^<11>B, ^<27>Al, ^<41>K, ^<51>V, ^<59>Co, ^<87>Rb, ^<89>Y, ^<88>Sr, ^<103>Rh, ^<127>I, ^<133>Cs, ^<139>Ba, ^<181>Ta, ^<197>Au及び ^<209>Biは(γ、π^+)あるいは(γ、π^ーxn)反応で ^7Be, ^<11>C, ^<27>Mg, ^<41>Ar, ^<51ーx>Cr(x=0ー3), ^<59>Fe, ^<59ーx>Ni(x=2,3), ^<87>Kr, ^<88>Rb, ^<89ーs>Zr(x=0ー3), ^<103>Ru, ^<103ーx>Pd, ^<127ーx>Xe(x=0ー6), ^<133>Xe, ^<133ーx>Ba(x=0ー9), ^<139>Ba, ^<139ーx>Ce(x=0ー8), ^<181>Hf, ^<197ーx>Hg, ^<209ーx>Bi(γ、π ^ーxn) ^<209ーx>Po(x=2ー7)を生成する。これらは、各標的の核破砕から生成する高エネルギ-中性子の(n,p)、または陽子の(p,x'n)反応で同一核種が作られるが、π放出のしきい値以下のデ-タを基に補正した。その結果、(γ,π^±)反応の収率は標的質量(A_t)の増加と共にわずかに増加する(〓A_t^<1/3>)が、その比は3ー5と異常に大きい。π^ー放出は多数の中性子と共に放出される反応が優勢でA_tの増大と共に急増するが、いずれもA_t≧100〜140でlimitingを示す、等のことが明らかになった。(2)核破砕では、 ^<51>V, ^<59>Co, ^<89>Y, ^<127>I, ^<133>Cs, ^<139>La, ^<176>Lu, ^<197>Auに及び ^<209>Biについて、各々標的核から5〜10元素にわたる各21〜47核種の生成収率のE_0変化を調べた。Rudstamによるハドロン誘起核破砕の経験式に非線型最小二乗fitをさせて経験式が含むパラメ-タを決め、制動放射線の場合の新しい表式を導いた。ここで見い出したハドロン反応との違いを、初期相互作用から核内カスケ-ド・蒸発に至る過程、特に励起エネルギ-の観点から考察した。(1)、(2)ともに光子誘起衝突カスケ-ドの理論計算は、中重核では再現性がよいが、重核でのずれが極めて大きく、励起エネルギ-及び核パラメ-タの再考が必要である。3)A≦20〜30で生成率が急増するハドロン反応と異なり、 ^<35,37>Cl, ^<59>Co, ^<53,55>Cu及び ^<89>Yの光核反応では、 ^<22.24>Naは破砕過程で説明できる。 ^<7,10>Beについてはフラグメンテ-ションを考えなければならないが、同時にα粒子放出も起こっていることが示唆された。そのA_t依存性も大きいが、ハドロン反応とは異なる傾向を示す。(1)〜(3)共に重核での研究が重要で、核分裂と共に不確定性が残った。
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