研究概要 |
Feー0系,Feー0.5mass%CーS系の固体鉄試料をアルゴン雰囲気中でプラズマア-ク加熱した。FeーO系試料のメタルプ-ル表面に浮かべた高融点の酸化物の動きを高速度カメラ等を用いて直接観察した.さらに,FeーO系試料底部に差し込んだメタル線の溶融池内でのまがり具合いを観察した.その結果より,低酸素濃度試料を用いた場合,メタルプ-ルの中央部から周辺部の方向の流れ(外向流)が,逆に,高酸素濃度試料ではメタルプ-ルの周辺部から中央部の方向への流れ(内向流)が生じているとみなすことができた. FeーO系融体の表面張力を測定した.その結果,酸素濃度の増加にともなって表面張力の温度係数は変化し,酸素濃度0.007mass%以下の酸素濃度では負,それ以上の酸素濃度では正の値となった.このように酸素濃度の違いによってFeーO系試料の表面張力の温度係数の符号が変化することから,上記のメタルプ-ル内の流動挙動を表面張力対流(マランゴニ流)で説明することができた.FeーCーS系の表面張力の温度係数もFeーO系の結果と同様に,低硫黄濃度では正の値となった. プラズマア-ク加熱後のFeーO系,FeーCーS系試料のメタルプ-ルの幅Wと深さDを測定し,D/Wと試料中の酸素,硫黄濃度との関係を調べた.酸素濃度あるいは硫黄濃度が増加するにしたがってD/Wの値は増大し,溶け込み形状は狭く深い形状になった.FeーO系融体の表面張力の温度係数とD/Wの関係は,明瞭な直線関係にあることがわかった.試料中の酸素,硫黄濃度が増加してもプラズマア-クの形状は変化しない結果が得られた.以上の結果から,FeーO系のメタルプ-ル内の流動挙動および溶け込み形状に対してマランゴニ流が支配的な影響を与える因子であることが明らかとなった.FeーCーS系の流動挙動,溶け込み形状の変化に対してもマランゴニ流が支配的影響を与えるものであることが明らかとなった.
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