研究概要 |
エチニルシラン類の遷移金属錯体触媒との相互作用を検討し,種々の興味深い結果を得ることができた。 1,末端アセチレン基を有するエチニルシラン類をトルエン中,触媒量のクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)存在下,室温で反応させるとすみやかにアセチレン部位のCーH結合の活性化をともなう頭一頭二量化が進行して(E)ー1,4ージシリルエンインが高収率で得られた。反応は立体特異的であり,その他の生成物は全く確認されなかった。さらに得られたジシリルエンインの2つのケイ素基を1つずつ他の有機基に変換する方法を開発して,本反応が有機合成化学上有用なものであることを明らかにした。又,これらの反応を利用して(E,E)ージシリルブタジエンを立体特異的に,収率よく合成することに成功した。 2,1の結果を利用して新規有機ケイ素ポリマ-の合成を行った。分子内に2つの末端アセチレンを有するジエチニルシラン,ジエチニンルジシランを原料として同様のロジウム(I)錯体触媒反応を行うと主鎖にエンインユニットとケイ素グル-プとを交互に規則正しく有するポリ〔(シリレン)ブトエンインー1,4ージイル〕,およびポリ〔(ジシラニレン)ブトエンインー1,4ージイル〕が収率よく得られた。又,得られたポリマ-が感光性を有すること,ポリマ-薄膜をSbF_5蒸気にさらすと最高で1、09s/cmの高い導電性を示すようになることを明らかにした。 3,(フェニルエケニル)トリシランのニッケル錯体触媒反応を行い,これらがケイ素基の1,3一転位によるシラプロパジエンーニッケル錯体を中間体とする興味深い異性化反応をおこすことを見い出した。特にz-トリル置換化合物ではアリ-ル基上のメチル基のCーH結合活性化を含む異性化反応が見られた。
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