研究概要 |
1.金属触媒不斉水素化反応の開発: ビスホスフィンーRh錯体を用いる不斉合成法は、現在まだ高い不斉収率と同時に高い触媒効率を与える実用的な例は非常に少ない。 今回、新しい不斉配位子設計理論に基づいて開発したMODーDIOPを用いて光学活性リグナン類の実用的不斉合成に成功した。 (1)(+)ーコリヌシンの不斉合成を行い、その絶対配位を決定した。 (2)(+)ーネオイソステガンの効率的不斉合成に成功した。 (3)(-)ーデオキシポドヒロトキシンの不斉全合成に初めて成功した。これは現在制ガン剤として利用されているエトポシド、テニポシドの人工合成への最初の合成を完成したことになる。 (4)新しい不斉配位子設計志論を確立し、それに基づいてBCPM、MODーBPPM、MODーDegphos、MODーSbewphos、XYLーDegphos等の高効率不斉配位子の開発と各種生理活性物質の合成に応用した。 (5)XYLーDIOPの開発とそれを用いたイタコン酸誘導体類の不斉水素化反応を検討した結果、特にイタコン酸ジェステル類の不斉水素化反応に有用であることを見出した。(第110年会日本薬学会で発表予定) (6)αーアミノケトン類の不斉水素化反応とプロプラノロ-ル類の不斉合成に成功した。(第110年会日本薬学会で発表予定) 2.酵素触媒不斉合成法の開発とその応用 すでにリパ-ゼ触媒による光学活性グリセリン誘導体の不斉合成を行い、これらを各種光学活性医薬品の合成に応用した。 (1)2ーアルキル置換1,3ージオ-ル類の不斉エステル転位反応を開発した。(第110年会日本薬学会で発表予定) (2)1,4ージオ-ル類の不斉エステル転位反応による不斉合成と生理活性物質合成への応用に成功した。(第110年会日本薬学会で発表予定)。
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