研究概要 |
輝尽性蛍光物質を塗布したスクリ-ン(イメ-ジング・ブレ-ト,IP)は,二次元X線検出器として様々な利点を持つ。特に逆空間全体に連続的に散乱が広がるような試料のX線散乱強度測定には有用である。異方性のあるデイフュ-ズな回折パタ-ンを与える柔粘性結晶の構造解析に、適用した。 初年度はDLP100(MACサイエンス社製)を購入し,必要な装置等を目作し,強度測定における基本的問題点をチェックし解決した。 次年度は、まず、ディフュ-ズな回折パタ-ン(散漫散乱)を、IPを用いて強度測定した場合の定量性と、解折方法の確立を目的とし、液体四塩化炭素と水を付料とした実験を行った。その結果、液体からの散乱をIPで測定した場合、従来の角度掃引法やエネルギ-分散法に比べ測定時間は数分の一ですみ、しかも解折法が簡単であることがわかった。測定精度も従来の方法と同程度、あるいはそれ以上の精度であった。唯一の欠点は、散乱パラメ-タSの大きな領域の測定ができないことであるが、研究の対象を液体の構成分子のパッキングや配置に限るなら問題はない。また当初、斜め入射のトラブルを予想したが、まったく問題はないことが確かめられた。 柔粘性結晶の試料としてはアダマンタン(C_<10>H_<16>)をとりあげた。単結晶を作り、様々な方向からX線をあて、IPによりその二次元散乱パタ-ンを得た。分子の重心は規則格子を作っていることによるラウエ斑点と、配向が乱れていることによるディフュ-ズ・パタ-ンの両方が得られた。分子の重心は規則格子を作っていることによるラウエ斑点と、配向が乱れていることによるディフュ-ズ・パタ-ンの両方が得られた。分子の重心はfccの格子点上にある。格子点のサイト・シンメトリ-は分子自身の対称性より高く、分子が大きな回転的振動を行い擬似的に球状分子にみせることで、格子点のサイト・シンメトリ-を満足させていると思われる。詳細な構造解折は現在進行中である。
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