研究課題/領域番号 |
01480007
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山倉 拓夫 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10089956)
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研究分担者 |
川口 英之 京都大学, 農学部, 助手 (40202030)
神崎 護 大阪市立大学, 理学部, 助手 (70183291)
谷口 誠 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (00047309)
依田 孝二 (依田 恭二) 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80046937)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1991年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 化学生態学 / ナギラクトン / アレロパン- / 植物の被食防衛 / 侵入者 / アレロパシ- |
研究概要 |
本研究は照葉樹林に侵入した攻撃的侵入者(ナギ)の生産するアレロケミックス(ナギラクトン)の森林群落内での動態と他感作用を解析し毒物質を操る侵入者の適応戦略及び毒物質によって制御された森林生態系の特異な姿を明らかにする。 1.林冠木のギャップ登成速度とギャップをナギが占拠する確率から求めた。ナギの侵入時点は約800年前、ナギのフロントの拡大速度は62cm/年となった。この計算が正しいと依定すれば、500年後には仰蓋山全域がナギの純林と化すことになる。 2.ナギ林の階層構造は上層をナギが、下層をイヌガンとナギが占める2層構造を成し、種の多様性も隣接する春日山照葉樹林より低かった。個体の分散構造は雌の有無によって大きく変動した。 3.雌雄の性比は1:1であり、雄は雌に比べ小形で性成熟が早く、寿命も短かかった。種子の豊凶は4年周期の変動を示し、エルニ-ニョがもたらす異常気象と同調することが示唆された。 4.リタ-量にも明らかな年次変動があり、葉のリタ-生産は種子の豊凶と負の相関を示した。詳細な炭素循環の解析は経手していないが、春日山の照葉樹林に比べ、大きな差は認められない。 5.ナギラクトンは照葉樹林構成種の発茅・発根や雑樹の初期生長を明らかに阻害した。阻害の形式は逆数式に従った。ナギラクトンはリタ-によって林冠から林床に移動するだけでなく、降雨を通じても移動した。根から土壌への移動は今後の課題であるが、降雨によるナギラクトンの移動は予想を越えてはるかに大きかった。これらの現象はナギラクトンによるナギの自家中毒回避機構の存在を示唆した。ナギラクトンは植物の化学防衛一般においても、非常に興味深い物質であると言える。
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