研究概要 |
タバコ培養細胞の細胞周期の進行をDNA合成阻害剤のアフィディコリンと微小管重合阻害剤のプロピザマイドを用いて高度に同調化させ,細胞質分裂中の細胞を高頻度に含む細胞集団を得,実験に供した。 1.細胞質分裂の担い手である隔膜形成体は微小管を主要な構成要素としているが,この微小管に多数の小胞が付着していることをすでに明らかにしている。この付着の機構を明らかにする目的で,隔膜形成体を持っている細胞の細胞膜の透侵性を高めATPを導入し,その後に隔膜形成体を単離したところ,隔膜形成体微小管には小数の小胞しか付着していないことが明らかとなり,小胞と微小管の結合がATP依存的であることが示された。 2.隔膜形成体の微小管はプラス端を赤道面に置き,マイナス端方向に伸びており,マイナス端を中心体に付着させ,プラス端を伸ばしている動物細胞に一般的に見られる配列とは異なった配列をしている。この特異的な配列を構築する機構を知る目的で,隔膜形成体を持っている細胞に蛍光色素でラベルした動物脳チュ-ブリンを導入したところ,蛍光は赤道面にとりこまれることが確認され,隔膜形成体微小管がプラス端で重合することが判明した。また蛍光ラベルチュ-ブリンの導入後に,種々のヌクレオタイドおよびヌクレオタイド誘導体の存在下でラベルしていないチュ-ブリンを導入する実験により,プラス端で重合した微小管がGTP依存的にマイナス端方向に輸送されることが明らかになった。 3.隔膜形成体の細胞板形成能を調べる目的で,隔膜形成体を単離し,放射性CあるいはHでラベルしたUDPグルコ-スとインキンベ-トした後、ラベルの取り込みを,化学的分析あるいはオ-トラジオグラフィ-で調べたところ,単離隔膜形成体の赤道部分で,βー1,3グルカンが合成されていることが明らかとなった。
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