配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1990年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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研究概要 |
酸素発生を伴う光合成の光エネルギ-変換系は2種の光化学反応中心たん白複合体,PSIとPSIIにより駆動される。従って,PSIとPSIIの反応バランスがエネルギ-変換効率を決める。この効率維持のためのチラコイドの調節能の一つとして,チラコイド電子伝達状態がモニタ-され電子伝達末端で働くPSI量がその合成調節を通じて調節されて,PSIとPSII量比が光合成条件に適するようになることを我々は見出した。この調節のしくみを明らかにするために,(1)信号となる電子伝達反応,(2)信号変換・伝達,(3)PSI形成の制御部位を明らかにすることを行った。 (1)については,PSI形成の調節変化の前後の電子伝達状態を内光分光法で詳細に検討し,シトクロムb_6酸化反応が検知されていること,そしてこの反応はQcサイト阻害剤で阻害されることを明らかにした。 (2)及び(3)については,PSI形成に必要なアポたん白合成とChla合成の二面について,シトクロムb_6酸化との関連を含めて解析を行った。アポたん白合成の速度が信号により2倍まで促進されること,この促進と同時にChla合成も加速され,その両者の時間的変化が一致することが判った。また,Chla合成は,PSI形成が抑制されている時に抑制され,信号を阻害するHQNOによりその解除が阻害されることも判った。これらの検討から,(i)Chla合成調節がPSI形成調節の主要なしくみであり,(ii)この調節は,シトクロムb_6酸化の信号により誘起され,Chla合成末端での抑制的調節が信号により解除されることによりPSI形成が促進されるものとの推定をえた.また,この信号変換・伝達には少なくとも2種の回転の早いたん白が働いているとの推論もえた.
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