研究分担者 |
三浦 郁夫 広島大学, 理学部両生類研究施設, 助手 (10173973)
住田 正幸 広島大学, 理学部両生類研究施設, 助手 (10163057)
大谷 浩己 広島大学, 理学部両生類研究施設, 助手 (20106800)
奥本 均 広島大学, 理学部両生類研究施設, 講師 (00033879)
上田 博晤 広島大学, 理学部両生類研究施設, 助教授 (40033865)
柏木 昭彦 広島大学, 理学部・両生類研究施設, 助手 (50106796)
近藤 育志 広島大学, 理学部・両生類研究施設, 助手 (00033845)
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研究概要 |
無尾両生類のうち,わが国を含む世界各地に広く分布するBufoとRanaについて,多数の個体の骨格筋と肝臓から抽出した酵素と血液蛋白を電気泳動法で分析し,それらを支配する各遺伝子座についての遺伝子頻度から,種,亜種,地方集団間の遺伝距離を求め,UPGMA法で系統樹を作成した。各属についての主な研究結果は次の如くである。 1.旧世界の分布するBufo7種6亜種について調べ,ヨーロッパ産のB.bufoと日本産のB.japonicusとが著しく近縁であることを明らかにした。B.japonicusについては,日本で東西に分化しながら,4亜種を生じたことが明らかとなった。 2.旧北区に分布するesculenta群(pond frogs)は,まずヨーロッパと極東とで3種ずつに分化し,極東ではさらに3亜種が生じたことがわかった。また日本産トノサマガエルの70集団について調べ,先住のダルマガエルと新来のトノサマガエルとの交雑によって,トウキョウダルマガエルができたことがわかった。 3.旧北区に分布するアカガエル群12種について,種分化の過程を調べた。その結果,染色体数が26のR.latouchiとR.tsushimensisがまず分化し,次に24のR.arvalisができ,残り9種は26のものが6種,24のものが3種となって世界各地に拡がったことが明らかになった。 4.日本産ツチガエルの40集団について系統を調べ,東部と西部でかなり異なっており,更に性決定機構については,東部はZW型,西部はXY型であることがわかった。これは動物界における性決定機構の原始状態を示すものと思われ,極めて興味深く,今後詳しく追究する予定である。 5.上記のほか,極東に分布する3種のHyla属の分化,および分布が熱帯地方にまで拡がっているヌマガエルとこれに近縁のR.cancrivolaおよびPlatimantis属との類縁関係を明らかにすることができた。
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