配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1991年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1990年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1989年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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研究概要 |
1.顆粒病ウイルスの包埋体に含まれている核多角体病の感染を増進するリポタンパク質(感染増進物質)の作用機作について検討して、つぎのことを明らかにした。(1)Spodoptera frugiperda(ヤガ科の昆虫)の細胞株への核多角体病ウイルスの侵入は,ウイルスエンベロ-プと細胞膜との融合によって起るが,感染増進物質はこの融合を亢進する。(2)S.frugiperdaの細胞株には感染増進物質のレセプタ-がある。(3)このレセプタ-はアワヨトウ幼虫の中腸円筒細胞表面膜タンパク質と共通抗原を持っており,このタンパク質は感染増進物質に親和性があった。 2.昆虫ポックスウイルスにも顆粒病ウイルスと同様に核多角体病の感染を増進する作用があることを明らかにし、その原因となる物質の性状について以下のような知見を得た。(1)アワヨトウ5令幼虫に核多角体病ウイルスの多角体とポックスウイルスの包埋体を同時に経口投与すると、感染虫の殆んどは核多角体病で死亡し,顕著な感染増進作用がある。(2)包埋体をアルカリにより溶解し、ゲル濾過とハイドロキシアパタイト。カラムクロマトグラフィ-により精製すると,感染増進物質が単離された。(3)この物質の分子量と抗原性は顆粒病ウイルス包埋体より分離した感染増進物質とは異っていた。 (3)アワヨトウ由来の細胞株にキアシドクガの核多角体病ウイルスを接種すると、接種ウイルスの増殖した細胞のほかに、小型RNAウイルスの増殖した細胞が見出された。核多角体病ウイルスのDNAを抽出して,上記の細胞にトランスフェクションによって取り込ませても,同様に小型ウイルスの増殖が認められたので、このウイルスは細胞株に潜伏しているものと考えられた。
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