研究概要 |
1.細胞融合における染色体交差の誘導 Saccharomyces cerevisiae(sta°)とS.diastaticus(STA1)との無性的細胞融合時の染色体挙動を,2種類のグルコアミラ-ゼ遺伝子(STA1:第4染色体,SGA:第9染色体)をプロ-プとして追跡した。PEG融合法および電気融合法でえた融合株(PEGーfusantsおよびElcーfusants)の染色体核型を電気泳動法で分析したところ,PEGーfusants間に,類同性は高いがElcーfusants間では可成り有意な変動が認められた。特に,STA1の3つの領域をプロ-プとして染色体上の分布を精査したところ,Elcーfusants(Sta^+)の中にSTA1が第9染色体に移動している株の存在が実証された(第4染色体から欠失)。すなわち,電気融合処理はSGAとSTA1のホモロ-ジ-を利用する特異な染色体交差を誘導するものと推定した。 2.Saccharomyces bayanusのセントロメアのクロ-ニングと構造解析 人工染色体の必須構成要素として複製起点,セントロメアおよびテロメアがある。ここではS.cerevisiaeと類似するが,ゲノムDNAの塩基配列に相同性の乏しいS.bayanusのセントロメアを5種類クロ-ニングし,生理活性と塩基配列を解析・決定した。S.bayanusセントロメアは何れもS.cerevisiaeで機能発現し,廣い宿主域をもつものと判断された。なをCDE塩基配列は、CDEIに相同性が認められるもののCDEIIとCDEIIIには相同性に乏しかった。 3.染色体改変法の開発 Zygosaccharomyces roxiiからえられたプラスミド(PSR1)がもつ部位特異的組換え系を利用する染色体改変法を開発し,その汎用性をテスト中である。 4.その他 CHーcelluloseを発酵しアルコ-ルを生成するS.cerevisiaeの育種に成功したが,効率はブドウ糖を発酵する場合の10%前後であった。
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