研究概要 |
魚類栓球におけるプロスタグランジン合成能について検討するために,ヒラメ,クロダイ,メバルおよびマダイ洗浄栓球浮遊液を用いて[1ー^<14>C]アラキドン酸(AA),ーエイコサペンタエン酸(EPA),ードコサヘキサエン酸(DHA)からのPG合成能を観察した。4魚種ともAAから主にPGF_<2α>,E_2およびD_2が合成されることを認めた。DHAからPG類への変換はいずれの魚種においても観察されなかったが,メバル栓球でEPAからPGへの変換が認められ,PG_<E3>,PG_<D3>であると推定された。ついで,コイの栓球凝集に関与するプロスタグランジンを検索することを目的とし,まずコイ,ニジマスおよびマダイの洗浄栓球浮遊液を用い,PG類に対する栓球凝集能を観察した。その結果,ヒト血小板および3魚種の栓球のいずれも,PGF_<2α>,PGD_2に対して全く凝集反応を示さなかったが,PGE_2添加においては,マダイ栓球では凝集反応が認められた。また,ヒト血小板では,TXA_2PGG_2およびPGH_2のいずれに対しても凝集反応が認められたが,魚類栓球ではいずれのPG類に対しても顕著な凝集反応は認められなかった。また,コイの栓球凝集時の上清中に凝集活性物質の存在することを認めたが,本凝集活性物質の構造決定までには至らなかった。ついで,マダイの鰓組織におけるリポキシゲナ-ゼ代謝産物について検討を行った結果,マダイおよびコイの鰓組織では,リポキシゲナ-ゼ活性はミクロソ-ム画分に認められた。さらに,マダイの鰓ではAA,EPAおよびDHAから12ーヒドロキシエイコサテトラエン酸(12ーHETE),12ーヒドロキシエイコサペンタエン酸(12ーHEPE)および14ーヒドロキシドコサヘキサエン酸が生成され,またコイの鰓組織ではリノ-ル酸,AAおよびEPAより13ーヒドロキシオクタデカジエン酸,12ーHETE,12ーHEPEが合成されることを認めた。
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