研究概要 |
植物生体の超音波画像による非破壊計測を行うためのシステム構成を試みるため,主に果菜類を対象とした超音波物性の計測及びその解析方法にいて検討した。また,植物組織構造の変化を超音波物性の変化として検出する方法について検討した。 1植物物性の超音波計測システムの構成 音響エネルギ-にる植物内部物性を非破壊計測で計測するためセラミックセンサを素子とする入出力プロ-ブを試作し,パルサ(PM270),ディジタルメモリ(DMー305),FFTアナライザ(AD3525)によって構成した計測システムにより伝播速度,減衰特性,固有振動数を,打撃法,共振法,パルス法により測定した。 2果菜類の超音波物性 キウイ,ニンジン,バレイショ,ナガイモ,ダイコン,サツマイモ,キュウリ,リンゴ,バナナの9種類の果菜類を対象に含水率,密度,伝播速度,減衰係数を求めた結果,バナナを除いて計測は可能であり,植物の品種により伝播速度には1400m/s(キウイ)から130m/s(リンゴ)までの範囲で変化しており,超音波物性計測が植物内部の品質計測に有効であることを明かにした。 3植物組織の異方性の検出 植物物性と超音波特性から内部品質を評価しようとすると,植物体の密度と伝播速度がパラメ-タとなり,結局音響インピ-ダンス特性による微小組織間の異方性の検出の可能性が問題となる。各植物体の軸方向とそれに直角方向にサンプリングした小試験片を対象として行った音響インピ-ダンス計測から,リンゴ,ナシ,ジャガイモ,ナガイモ,ゴボウ,ニンジンでは両者に明確な差異が認められ,組織の変化を追跡できることを明らかにしたが,サツマイモ,ダイコンではその差が認められず,デ-タサンプリングの方法,特にプロ-ブの形式と接触方法に工夫の必要性が認められた。
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