研究課題/領域番号 |
01480125
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
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研究分担者 |
佐藤 宏道 大阪大学, 医学部, 講師 (50154092)
木村 文隆 大阪大学, 医学部, 助手 (00202044)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1990年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1989年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | NMDA受容体 / グルタミン酸受容体 / 視覚野 / シナプス可塑性 / 長期増強 / 長期抑圧 / 脳 / ラット / グルタミン酸受溶体 / 発達脳 / 大脳皮質 / グルタミン酸 / カルシウム |
研究概要 |
1.研究の目的 発達脳視覚野において、シナプスの伝達効率は入力状態に応じて可塑的に変わること、及びこの変化はいわゆる臨界期に起こり易いことが知られている。最近、我々はグルタミン酸受容体の中でも特にCa^<2+>を流入させる型(NーメチルーDーアスパラギン酸型、略称NMDA型)が視覚野で臨界期に有効に作動し、可塑性発現を制御している可能性が高いことを示唆した。本研究ではこの示唆を検証するために、脳切片標本でみられるシナプス伝達の長期増強を可塑性の指標として、NMDA受容体に選択的な拮抗薬が長期増強を如何に抑えるかを調べた。また、シスプス後部へのCa^<2+>の流入が伝達効率変化に直接関与しているかどうかをCa^<2+>キレ-ト剤の細胞内注入によって検証した。2.研究の経過(1)生後3ー5週齢の仔ラット視覚野から薄切切片標本を作製し、ガラス管微小電極を皮質浅層ニュ-ロンに刺入した。次に、白質試験刺激に対する興奮性後シナプス電位(EPSP)の振幅、反転電位等を観察した。(2)白質に5Hz、1分間の連続刺激を与えると、EPSP振幅の長期的増大(長期増強)が起きることを見いだした。(3)NMDA受容体の選択的拮抗薬である2ーaminoー5ーphosphonovaleric acid(APV)を50μMの濃度で潅流液に加えると上記の長期増強が生じなくなることを見いだした。(4)Ca^<2+>キレ-ト剤を細胞内に注入すると単に長期増強が生じなくなるのみならず、EPSP振幅の持続的低下、すなわち長期抑圧が起きることを見いだした。3.総括 発達脳視覚野でみられるシナプス長期増強にNMDA受容体が関与していることを見いだした。さらにシナプス後部のCa^<2+>をキレ-トすると長期抑圧が生じることを発見した。このことは、連続シナプス入力によってNMDA受容体を介してシナプス後部でCa^<2+>が増加した場合には長期増強が起きるが、Ca^<2+>が増加しなかった場合には長期抑圧となるメカニズムの存在を示唆している。
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