研究課題/領域番号 |
01480135
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
安孫子 保 (我孫子 保) 旭川医科大学, 副学長 (90041821)
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研究分担者 |
矢沢 和人 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212274)
橋爪 裕子 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00154021)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1990年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1989年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 虚血 / 心筋 / ジルチアゼム / カルシウムチャネル / ATP / ラット / ランゲンドルフ / 低酸素 / マグネシウム |
研究概要 |
前年度の実験によって、カルシウム拮抗薬のジルチアゼムが低酸素潅流下における摘出ラット心筋の細胞内酸素濃度を上昇させることがわかった。本年度の研究では、ジルチアゼム(dーcis)およびその光学異性体(カルシウム拮抗作用は弱い:lーcisと略)の虚血心筋保護作用を調べた。虚血心筋保護作用の指標としては、心筋内のエネルギ-リン酸化合物と遊離脂肪酸の含量を用いた。実験の結果、dーcisもlーcisもほぼ同程度に虚血から心筋を保護することが認められた。従って、ジルチアゼムの虚血心筋保護作用のメカニズムはカルシウムチャネル遮断以外の作用(例えば膜安定化作用)を考えねばならない。では、膜安定化作用の実体は何か?恐らく膜の脂質二重層におよぼす薬物の作用であろうと考えられるが、この点は将来の研究に待たねばならない。 次に心筋のカルシウムチャネルに対するATPの作用について電気生理学的な検討をおこなった。虚血になれば心筋細胞内のATPは低下するからである。この実験にはモルモット心室細胞膜を用いた。この細胞膜をinside patchにすると、L型カルシウムチャネルの活性がrunーdownすることが分っている。このrunーdownは心筋組織抽出液(PCAP)によって回復するが、ATP単独では回復せず、PCAPの存在下であればATPの回復効果が発現することを見出だした。ただし、ATPのこの効果はATPのアナログであり加水分解されないAMPーPNPによってもみられたので、ATPのrunーdown回復効果はATPの加水分解によって生じるエネルギ-によるものではない。このことから、ATPはエネルギ-を介してではないが、カルシウムチャネルに対して直接的な作用(おそらくはリン酸化作用)をもっているものと思われる。 以上、虚血心筋に対するカルシウムチャネル遮断薬の作用を検討し、カルシウムチャネル遮断薬の新しい作用を見出だした。
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