研究概要 |
1.ポリ(ADPーリボ-ス)シンテタ-ゼのcDNAクロ-ニングーウシの上記酵素のcDNAクロ-ニングを完了し、全一次配列を決定した。この配列を既報のヒトおよびマウス酵素と比較し、DNA結合、自己修飾、NAD結合の各機能に対応した構造ユニット(亜鉛結合フィンガ-など)が、進化的に極めてよく保存されていることを明らかにした。また、領域ないしドメインレベルの配列比較に便利な“ホモロジ-プロフィル"プロットを開発した。 2.ポリ(ADPーリボシル)化の特異的阻害剤の発見ー数年来進めてきた300種を超える物質のサ-ベイの中から、1,8ーナフタルイミド、6(5H)ーフェナントリジノン,1ーヒドロキシイソキノリンとこれらの誘導体,4ーヒドロキシキナゾリンなどが,既知のニコチンアミドやベンズアミド誘導体より強力かつ特異的な阻害剤であることを見出した。また、ビタミンKがノボビオシンとともに、ポリ(ADPーリボシル)化よりもモノ(ADPーリボシル)化に特異性の高い阻害剤であることを明らかにした。 3.癌細胞の人為的分化誘導ー上記の研究で見出した新しい強力な阻害剤の幾つか(4ーヒドロキシキナゾリン,アラキドン酸など)を培養テラトカルシノ-マ細胞に適用したところ,レチノイン酸や3ーアミノベンズアミドなどと同様に,内皮様細胞に分化誘導することが明らかとなった。
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