研究課題/領域番号 |
01480154
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 文三 大阪大学, 医学部, 助教授 (30124770)
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研究分担者 |
松本 圭史 大阪大学, 医学部, 教授 (70028299)
幸原 晴彦 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
笠山 宗正 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
古賀 正史 大阪大学, 医学部, 助手 (00186652)
西澤 恭子 大阪大学, 医学部, 助教授 (10172652)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1989年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | アンドロゲン受容体 / グルココルチコイド受容体 / エストロゲン受容体 / レチノイン酸受容体 / 点変異受容体 / ホルモンレスポンシブエレメント / ステロイドレセプタ- / Hormone Responsive Element / CAT / 競合阻害 / 遺伝子発現特異性 |
研究概要 |
ステロイド受容体の構造と遺伝子活性化能との相関を変異受容体を持つ培養細胞を用いて検討した。マウス乳癌細胞(SCー3)では、導入されたMMTVーCAT遺伝子を活性化するために、高濃度のグルココルチコイド(G)が必要であった。この細胞のG受容体(GR)とホルモンとの親和性は正常であること、正常GRの発現ベクタ-をCoーtransfectionすると生理的濃度のGでMMTVーCATが活性化されたことより、SCー3細胞のGRに変異が存在することが推定された。PCR法によりC領域のバリンがグリシンに点変異していることが明らかとなった。遺伝子活性化には2量体形成が必須とされていることから、SCー3細胞の変異GRは、2量体形成能に異常があることが示唆された。一方生理的濃度のアンドロゲン(A)でもMMTVーCATは活性化されるが、この活性化は生理的濃度のG刺激により抑制された。以上の結果は、この変異GRは、遺伝子活性化能を持つ1量体になり難いこと、1量体でプロモ-タ-に結合したGRは、他の転写因子による遺伝子活性化を抑制するとの新しい作用機構の存在を示している。 エストロゲン(E)応答細胞(Bー1F)にも変異E受容体(ER)が同定された。このERは、ホルモン非結型で多量体構造をとっており、DNAと強固に結合していた。このERのD領域にグルタミンからリジンへの点変異が存在した。この細胞にEstrogen Responsive Element(ERE_2)ーCAT遺伝子を導入すると、エストロゲンのみならず、レチノイン酸(RA)でも活性化された。このRAによるERE_2の活性化は抗エストロゲン剤により阻止されること、RA受容体に変異が存在しないこと、正常ERを持つ細胞系では観察されないこと等から、ERの点変異がRA受容体に入ったシグナルをERに伝えERE_2の活性化に導く新しい伝達経路が作られたことを示す。以上受容体の構造と遺伝子発現制御との相関をアミノ酸レベルで明らかにした。
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