研究課題/領域番号 |
01480162
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
武市 紀年 北海道大学, 医学部, 助教授 (40002133)
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研究分担者 |
宇根 良衛 北海道大学, 医学部, 講師 (60176716)
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 教授 (60001765)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1990年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1989年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 劇症肝炎 / 動物モデル / LECラット / 銅代謝異常 / ウィルソン病 / セルロプラスミン / 肝硬変 / 肝癌 / 常染色体劣性遺伝 / ペニシラミン / 肝炎 / 癌遺伝子 / 癌関連遺伝子 |
研究概要 |
非近交系LongーEvansラットから分離された近交系LECラットは約4カ月齢でその40%以上が急性肝炎を発症し、そのうち約半数は死亡する。生存例は慢性肝炎を経てほば全例肝癌を発生することなどから、ヒト肝炎、肝癌の新しいモデル動物として注目されている。 LECラットの急性肝炎は常染色体劣性遺伝形式で起こり、何らかの代識異常による可能性が考えられていた。最近、当研究グル-プによりLECラットの肝臓中に銅の異常蓄積が起こっており、血清中ではceruloplasminおよび銅の低下のあることが明らかにされた。LECラットの肝組織には生後2日齢より銅が蓄積し始め、肝炎発症前の3カ月齢に肝細胞毒性を示すレベルに達していることから、LECラットに先天性銅代謝異常が存在し、それによって肝へ銅が蓄積し、肝細胞障害及び劇症肝炎の発症になっているものと考えられる。 さらに、劇症肝炎から生き残ったLECラットは胆管線維症を経てほぼ100%肝細胞癌を発症する。この事実は、LECラットにおける肝癌の発生に銅代謝異常が何らかの形で関与している可能性を示唆している。 ヒトにおける先天性銅代謝異常疾患としてWilson病がよく知られている。Wilson病は常染色体劣性遺伝で起こり、大部分の患者は急性肝炎、肝硬変にて死亡し、一部の患者では肝癌の発生が報告されている。 LECラット肝炎はWilson病と遺伝形式、臨床病理所見などがよく似ており、Wilson病の機序解析および診断・治療の恰好のモデル動物と言える。
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