研究課題/領域番号 |
01480166
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉永 秀 熊本大学, 医学部, 教授 (90040196)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1990年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1989年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 炎症 / 好中球 / 多核白血球 / サントカイン / タンパク合成 / RNA合成 / サイトカイン / タンパク合成能 / RNA合成能 / IL1 / 差し引きライブラリ- |
研究概要 |
多核白血球はリボソ-ムに乏しく、タンパク合成を阻害した状況下で、貧食、活性酸素の遊離、リソゾ-ム内溶物の遊離などは支障なく起こすので、従来その機能発現にはタンパク合成は必要がないと考えられてきた。しかし、我々は炎症の場に滲出してきた多核白血球がさまざまな活性因子を合成しているに違いないと考えられる状況を見いだしたので、本プロジェクトにおいて、この多核白血球のタンパク合成能が、炎症の場で真に発揮されているのか、発揮されている場合には、どのような物質を合成しているのかについて検索した。 まず、炎症の場に滲出している多核白血球のタンパク合成能、RNA合成能をアミノ酸、ウリジンの取り込みでしらべ、炎症早期、後期いづれの多核白血球もこれらの合成を行なっていることが判明した。次に、多核白血球が合成している物質の第一の候補として、ILー1をえらび、精製した多核白血球のmRNA発現、タンパク合成阻害剤による産生の阻止、免疫染色による単一細胞レベルでの産生の確認を行ない、多核白血球は確かにILー1を合成していることを証明した。さらに、炎症後期の多核白血球はILー1抑制因子を合成していることを知り、この因子を精製し、その構造を決定し、これがヒトILー1レセプタ-拮抗因子であることを知り、そのmRNAの発現を証明した。 さらに、多核白血球の合成している物質を組織的に追及するため、炎症5時間、および24時間の多核白血球からcDNAライブラリ-を構築し、これらの間で差し引きライブラリ-を作成し、炎症早期の多核白血球によって主に合成されている9クロ-ンと、後期のそれを1クロ-ン同定した。このことは多核白血球が炎症早期、後期ともに活発なタンパク合成機能を発揮していることに確証を与えたもので、しかも、早期と後期ではこの細胞の機能に違いのあることを明瞭にしたといえる。
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