配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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研究概要 |
わが国の食中毒原因菌として、また旅行者下痢症の原因菌として重要な腸炎ビブリオの病原因子の研究を行い、以下の成績を得た。 1.毒素について これまでの研究により、腸炎ビブリオの病原因子としてTDH及びTRHの重要性が明らかになってきた。本研究の主要な成績として,(1)新しい病原因子としてTRHを見い出した,(2)腸炎ビブリオのみならず、V.cholerae nonー01,V.mimicus,V.hollisaeなどの多くの腸管感染原因菌がTDH/TRH類縁毒素を産生することを明らかにした,(3)TDHのTrpー60およびGlyー90が活性発現に重要であること,さらに(4)TDHとTRH遺伝子を組み換え、キメラ毒素を作成して解析したところ、N末から33ー100位のアミノ酸残基が本毒素の耐熱性を担う部位として重要であること,(5)ヒツジ血球感受性にはN末から89位と91位の2つの残基が重要であること,などが明らかになった。また,(6)本毒素がporeーforming toxinとして作用することも明らかになった。 2.定着について 腸炎ビブリオ感染の重要な第一歩は定着であると考えられているが、その役を担う物質はいまだ明らかでない。われわれは、本菌が毒素原性大腸菌などの定着因子として知られている線毛を産生することを見い出して解析を行った結果、(1)線毛を単離精製できた,(2)線毛に対するモノクロ-ナル抗体が作成できた。(3)アミノ酸組成,配列を明らかにした,などの成績を得た。また、線毛とは別に、腸炎ビブリオの産生する赤血球凝集素を見い出したので、精製と機能の解析を続行中である。
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