配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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研究概要 |
がん死亡率を比較するとき,まず目に付くことの一つは男女間における死亡率の差である。この差は国内外いづれの地域でも,また,性徴器管を除いたいづれの部位でも,いづれの時代でも普遍的に見られる現象である。そして,いづれの場合でも男子が女子に比べて高率である。本研究では,これら性差の実態とその原因についての実験的および疫学的研究を行った。 性差の疫学的研究では現在追跡中の「食生活とがん発生に関する疫学調査」のデータを中心に分析を行った。この調査は1982年に全国18市町村の国民健康保険加入者のうち30才から69才の全員およびがん死亡率の低い1宗教団体(モルモン教)の同年齢階層にある信者を対象として60種類の食品および嗜好品摂取量の調査を行い,その対象者のがんの発生の追跡を行った。これから10才代毎の平均的な食事中変異原性の陽性化食品と陰性化食品の摂取バランスから算出した地域別・性別食生活指数の生涯平均値とそのがん死亡率の相関および回帰直線を求め,がん死亡率の性差の検討を行った。この相関は全がんおよび胃がんとも0.1%レベルで有意であり,がん死亡率の多くは男性で回帰直線がより高率であり,女性ではそれより低率で,同程度の変異原性陽性化食品を摂取した場合でも男性に比べて女性はがん抵抗性の高い事が明らかになった。 一方,いづれの地域でも男性は女性より変異原性陽性化食品の嗜好性が高く,また,がんの家族集積性を示す家族では陽性化食品嗜好性が高いが,この集積性と嗜好性は女性の手によって継承され,集積性のある家族の女性と結婚した男性ではさらにその嗜好性が助長された。 実験的にはがん家族集積性の異なる男女から採血し,そのリンパ球からmRNAを抽出して,チトクロムP_1-450,グルクロン酸転移酵素およびアクチンを定量したが有意の性差は得られなかった。
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