配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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研究概要 |
気管支喘息の重症化・慢性化には好酸球による気道炎症が重要な役割を果していると考えられている。そして気道組織内に浸潤した好酸球は種々のサイトカインや化学伝達物質により機能的に活性化され組織傷害性を発揮する。本研究では抗好酸球モノクロ-ナル抗体を確立しそれがいかなる活性化好酸球を認識するかを検討した。その結果本抗体は,好酸球増多症患者の好酸球とのみ反応し,健常者好酸球とは反応しないことが明らかにされ,本抗体は活性化好酸球の解析に有用と考えられた。次に好酸球を活性化することが知られているサイトカイン(ILー3,ILー5,GMーCSF)によりヒト末梢血好酸球をin vitroで活性化させ,本抗好酸球抗体との反応性をFACSにて解析した。本抗好酸球抗体はGMーCSFと培養した好酸球とのみ強く反応し,ILー3或いはILー5と培養した好酸球とは反応しなかった。したがって,本抗好酸球抗体はヒト好酸球がGMーCSFにより活性化された際に特異的に発現される細胞表面分子を認識すると考考えられた。本研究では次に,ヒト臍帯血単核球をILー3とILー5と共に4週間培養することにより好酸球のみを選択的に誘導する実験系を確立し,これにより各種サイトカインの好酸球の分化増殖に対する効果を検討した。IFNーγは非常に低濃度(5単位/ml)で好酸球の分化増殖を抑制した。ILー4も同様に10単位/mlから用量依存性に好酸球の分化増殖を抑制した。しかしILー4の添加ではT細胞の増加を認めた。ILー2も低濃度で好酸球の分化増殖を抑制した。以上からILー2,ILー4,IFNーγはいずれも直接または間接的にヒト好酸球の分化増殖を抑制すると考えられた。最後にサブスタンスP(SP)の好酸球活性化作用を検討した。その結果神経性炎症の惹起物質であるSPは好酸球を直接活性化し,気管支喘息の発症に関与することが示された。
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