研究分担者 |
千原 国宏 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (80029561)
上松 正朗 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
田内 潤 大阪大学, 医学部, 助手 (20197544)
堀 正二 大阪大学, 医学部, 助手 (20124779)
武田 裕 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20127252)
北畠 顕 大阪大学, 医学部, 講師 (00124769)
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研究概要 |
動脈硬化初期病変は,ヒトでは血管分岐部外側や湾曲部内側などいわゆる低ずり応力領域に形成されやすいことから,動脈硬化の発生には局所血流の関与が重要であると考えられるが,動脈硬化発生のメカニズムは未だ不明である。一方,in vitroは,ずり応力の負荷により血管内皮細胞内のマイクロフィラメントが増加すると細胞のスティフネスが増大し,逆に薬物によりマイクロティラメントを解離させると内皮の透過性が亢進することが報告されている。しかし、生体内ではずり応力と内皮マイクロフィラメントの定量的な関係は明らかではなく,動脈硬化初期病変の発生との関連も不明である。そこで本研究ではまずイヌ慢性大動脈狭窄モデルを確立し、in vinoずり応力と内皮細胞マイクロフィラメント分布との関係を解析した。さらに局所壁ずり応力の変化およびそれに伴う内皮細胞の変化が、高脂血症のもとで内膜病方形といかなる関係にあるかを検討した。ついで透過性およびtight junctionの発達の程度について検討した。その結果、局所平均壁ずり応力は上流に比し狭窄部直上で増大し,狭窄部直下では有意に減少した。電顕写真上で内皮細胞マイクロフィラメント束は抵ずり応力領域では減少し,内皮細胞間のtight junctionは未発達で,同部位に限局して内膜初期病変の形成を認めた。また,in vitroにおける培養細胞ずり応力負荷システムを完成することにより,ずり応力負荷による細胞の種々の反応をin vitroで観察することが可能となった。現在種々のずり応力負荷条件下における細胞反応を検討中である。以上より,局所ずり応力の低下により内皮マイクロフィラメントは低形成となり,内皮透過性が変化することにより,高コレステロ-ル血症下では内膜初期病変が形成されることが示唆された。
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