研究課題/領域番号 |
01480289
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松沢 佑次 大阪大学, 医学部, 講師 (70116101)
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研究分担者 |
船橋 徹 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
久保 正治 大阪大学, 医学部, 助手 (50161667)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1990年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1989年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | コレステロ-ルエステル転送蛋白(CETP) / コレステロ-ル逆転送 / 高HDL血症 / 動脈硬化 / 高比重リポ蛋白(HDL) / 低比重リポ蛋白(LDL) / CETP遺伝子 / コレステロ-ルエステル転送蛋白 / HDL / LDL / 動脈硬化防御機構 / 肝性リパ-ゼ / 角膜混濁 / LDL-レセプタ- |
研究概要 |
我々はこれまで高HDL血症もHDL代謝異常の1つであるとの見地から検討してきた結果、高HDL血症の病態にも多様性があり、その成因の1つとしてコレステロ-ルエステル転送蛋白(CETP)欠損症の存在を明らかにしてきた。本研究は、このCETP欠損症をモデルとしてこれまでヒト生体内での生理的意義が不明であったCETPのリポ蛋白代謝における役割を明らかにすると共に、CETPのコレステロ-ル逆転送系における役割を明らかにしたものである。CETP欠損症のHDL粒子はコレステロ-ルエステル(CE)に富み粒子径が拡大していた。さらに、超遠心によるLDL分画(1.019ー1.063g/ml)にはCEに富み、アポEとアポAー1を有するHDL由来の巨大リポ蛋白粒子(HDLc)が存在した。これらのことからCETP欠損症においてはHDL上でエステル化されたCEが他のリポ蛋白に転送されずにHDL粒子内部に保持され、その結果HDL粒子が巨大化し、HDLc様の粒子が出現することが明かとなった。CETP欠損症のLDLは比重、粒子径の異なる粒子集団(polydispersity)で、その平均粒子径は縮小していた。また、CETP欠損症では正常者と異なってサイズの異なる2種類のLDL粒子集団が存在し、このことから正常者では肝臓から分泌された2種類のリポ蛋白粒子集団がCETPによって均一なLDLに転換される過程が重要であることを明らかにした。つまりCETPはHDLからCEをアポB含有リポ蛋白に転送することによって最終的に均一で大粒子のLDLを形成する役割を担っていることが明かとなった。さらに、CETP欠損症の遺伝子異常を解析し、CETP遺伝子異常にも多様性が存在することを明かにした。 以上より、CETPはヒト生体内でHDL代謝、LDL代謝の相方に大きな役割を果たし、コレステロ-ル逆転送に重要であることが明かとなった。今後、CETP欠損症の異常リポ蛋白のatherogenicityを細胞生物学的に検討していく予定である。
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