研究分担者 |
三鍋 俊春 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50200077)
小林 正弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30195812)
瀬川 薫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30114523)
高野 利也 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60051364)
今西 宣晶 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00184820)
栗原 卓也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90186510)
長谷川 時生 慶應義塾大学, 医学部・形成外科, 助手 (00180860)
福積 聡 慶應義塾大学, 医学部・形成外科, 助手 (90181289)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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研究概要 |
1)ラットの人工剥皮創局所組織では,プロコラ-ゲンα(1)mRNAの発現量が特異的に上昇し,創傷治癒過程の細胞増殖にはプロコラ-ゲンの産生が重要な役割をもつ. 2)正常な創傷部位およびケロイドを形成した肉芽組織から培養した線維芽細胞では,TGFーβの添加によってプロコラ-ゲンmRNAの発現が誘導されたが,両者の細胞とも同程度の発現であった. 3)新鮮なケロイドの中央部薄片への ^<14>Cーロイシンの取り込みは正常な真皮組織に対して3〜5倍に達し,ケロイドにおける異常に高いコラ-ゲンの発現はおもに翻訳段階で起こっているものと考えられた. 4)全身性の重症ケロイド患者の血清は正常人血清や牛胎児血清に比べて著しく強い細胞増殖刺激作用を示し,ケロイド等の異常な創傷修復反応では,翻訳段階における強いコラ-ゲンの発現と相まって,創傷局所に作用する細胞増殖因子の高い濃度がその病因の一つとなっているものと考えられた. 5)患者血清中の細胞増殖刺激活性と患者皮膚細胞のTGFーβによるコラ-ゲン産生性を検査することによって,ケロイド体質を術前に診断する方法の一つとなり得る可能性が示唆された. 6)ラットにおける人工皮弁形成実験から,創傷治癒過程では,細径の新生血管よりも,むしろ既存の中小血管の拡張が主役となって創傷修復のための種々の因子を産生する血球成分を供給しているものと考えられた. 7)創傷治癒過程における異常な創修復反応のモデル実験系として培養細胞の不死化のメカニズムを遺伝子レベルで解析し,不死化細胞ではコラゲナ-ゼの発現が特異的に失われており,コラ-ゲンの形成と分解の過程が細胞増殖調節の破綻に本質的な関連をもつことを明らかにした.
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