研究分担者 |
正木 幸善 東京大学, 医学部(分), 医員 (50209417)
邱 明麟 東京大学, 医学部(分), 助手 (70186344)
安田 秀光 東京大学, 医学部(分), 助手 (00167694)
大原 毅 東京大学, 医学部(分), 教授 (20010217)
酒井 滋 東京大学, 医学部(分), 助手 (90183722)
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研究概要 |
1.NaOH注入によるラット慢性胃炎-腸上皮化生モデルを用いた各種ペプチド神経線維の変化の検討にて,S-100陽性線維には変化が認められなかった。 GRP陽性線維は胃粘膜障害直後は消失し,その後潰瘍性病変の治癒とともに染色性が認められる傾向があり,NPY陽性線維は筋層内での染色性に変化が認められた。 2.胃粘膜脱神経が胃癌発生に及ぼす影響について,2つのモデルを用いて検討した。十二指腸液胃内逆流と発癌剤投与による発癌モデルでは,有意に胃癌および腺腫の発生が促進された。次に発癌剤を投与しない残胃癌モデルでは,脱神経操作を加えると胃癌や腫瘍性病変の発生が有意に増加した。さらに胃粘膜の慢性萎縮性変化の増強と共に胃粘膜における核内増殖抗原PCNA陽性細胞の有意な増加が認められた。 3.胃癌患者の切除標本におけるペプチド含有神経分布についての検討した。20例の非癌部粘膜における検討では,S-100陽性線維が粘膜下層および粘膜筋板内に認められ,胃炎性変化の少ない粘膜の深層に一部染色性が認められた。NF陽性線維は粘膜下層内に一様に認められが粘膜内には認められなかった。 GRP,VIP,NPY陽性線維は今回の検討ではほとんど染色されず,胃炎性変化が強いこととの関連性が考えられた。 4.以上のことより,胃粘膜変化や胃癌発生に胃粘膜内神経が密接に関連することが明かとなった。今後は,胃内発癌物質濃度-胃粘膜変化-神経分布-増殖因子活性の関連性についての検討が必要であろう。
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