研究課題/領域番号 |
01480350
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
吉田 泰二 弘前大学, 医学部, 助教授 (70126465)
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研究分担者 |
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40018601)
高屋 豪瑩 弘前大学, 医学部, 教授 (20091605)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1989年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 実験的神経膠腫 / 腫瘍内血管増生 / 糸球体様血管 / 細胞動態 / 血管増殖蛋白 / 第VIII因子関連抗原 / 細胞外骨格 / 糸球体様血管立体構築 |
研究概要 |
ヒト神経膠腫の組織学的特徴の1つである糸球体様血管(GBV)の生物学的性質は不明の点が多い。本研究は実験的にラット神経膠腫を作成し、その中に形成されるGBVとその他の血管(非GBV)について細胞動態並びに特異蛋白発現の特色の解明を第1の目的とした。その結果、1.大脳・脊髄に形成された占拠性膠腫の57%にGBVがみられた。2.GBVは星状膠腫、異型膠腫、原始神経上皮腫など複数の組織像が混在する混合型膠腫に多く出現した。3.GBVのS期細胞標識率は非GBVよりも有意に高値であり、この標識率はその部位の腫瘍細胞よりも高値を示す例が多かった。4.GBVは第VIII因子関連抗原の発現が亢進していた。5.GBVは充実性腫瘍細胞増殖部位、腫瘍内小嚢胞形成部位および第IV型コラ-ゲンの増生を伴う腫瘍内間葉組織にも形成されていた。以上より、GBVは膠腫内に選択的に形成されるが、膠腫の組織型及び増殖能と直接的相関は示さず、腫瘍細胞の蛋白分泌、腫瘍細胞の変性壊死、間質結合織や細胞外骨格の増生などに伴う反応性変化であることが示唆された。本研究目的の第2は、GBVの機能にも直結する形態的特徴の解析であった。脳血管鋳型法を用いたGBVの三次元構築は、細動脈から分枝した毛細血管・細静脈構造をとる小血管が塊状に屈曲蛇行し静脈系に連続していた。これら小血管は胎生期脳血管新生の際の吻合様式と同様の構築を示した。すなわちGBVは上述の腫瘍細胞や間葉系細胞から分泌された蛋白などに誘導される腫瘍内血管の限局性過形成による異常血管網と考えられた。本研究目的の第3は、これら蛋白の証明とその遺伝子発現を検討するための技術開発であった。現在までヒト神経膠腫に発現するGFAP遺伝子のcDNAがクロ-ニングされ、塩基配列の決定が可能になった。今後の重要課題である第3の目的遂行に向けて大きな展望が開かれてきた。
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