研究概要 |
交配日の明確な妊娠後期(妊娠110〜115日)のヒツジ(サフォ-ク種)12頭を対象として,Chronic in Utero Catheterizaition(Fujimoto,S.et al.,1982,1983)を施行し,6頭には母体への気管内挿管を,他の6頭には胎児臍帯部にオクル-ダ-を装着した.人為的に胎児または母体の低酸素状態を誘導し,子宮動脈,胎仔頸・大腿動脈および臍帯の血流量,血圧,酸素分圧,pH等の測定ならびに胎仔心電図による心拍数変動パタ-ンの連続記録を行い,胎仔仮死発生と胎仔臍帯循環血流量との関連性を把握することを目的として実験を行った. 術後3日目以降において,母体および胎仔の呼吸,循環動態が安定状態になることを確認した後,母体より経気道的に様々な割合で酸素・窒素混合ガスを導入した.その結果,母体の低酸素状態の影響により胎仔動脈血pH,pO_2の有意な低下および胎児血流量の増加が観察された.さらに,胎仔動脈血pHが7.25以下になるまで不可を加えると,胎仔に非可逆性の変化がもたらされ,母体へ酸素投与および経静脈的重曹投与によって,半数に胎仔の改善が認められた.臍帯圧迫時間を40秒,1.5分間隔の変動減速の発来により胎児動脈血pHは有意に低下し,pH7.3未満になるものが半数に観察された.臍帯圧迫により,variable decelerationが出現するが,臍帯圧迫時間が30秒ではV字型を示し,圧迫間隔が2分以上あるとpHに変化は無かったが,2分間隔を20〜30回繰り返すと,pHの7.3前後への下降が認められた。また間隔は2分のままでも,圧迫時間を40秒,50秒,60秒と長くすると,W字型,U字型のvariable decelerationが現れ,またovershoot accelerationもみられるようになった。胎仔血pHも,60秒を越えると7.3前後に下降し,胎仔にとっては,過度のストレスにより,予備能を越えて胎仔のacidemiaの進行が推測された。
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