研究概要 |
(1)IVFーET:全体の妊娠率(対胚移植)は29、0%(357/1231),分娩率(予想値を含む)は17、3%であった.IVFーETは精子受精能力異常(ZSPT≦30%)を除く,各種の難治性不妊に対してほぼ同等に有効であった.また妊娠率は1日目(前核期)の移植でも,2日目,3日目の移植でもほとんど同じであった。IVFーETは外来ベ-スで,しかも日曜祭日を避けて採卵,移植できることが明らかになった. (2)GIFT:GIFTの妊娠率は20、1%(49/244)で,当初予想したよりも低い成績であった.もっとも期待した男性不妊でもZSPT異常(≦30%)を伴り場合は,妊娠率は7、8%と極端に悪かった。GIFTはいずれIVFーETにとってかわられるものと思われる. (3)IVFーETR:妊娠率は28、5%(41/144)と比較的良好であった.とくに卵管内精子輸送障害を伴り免疫性不妊では56、3%(9/16)の高い妊娠率が得られた.IVFーETRは今後とも免疫性不妊に対して,また男性不妊に対しては顕微授精との組合せで活用させるものと思われる. (4)Micromanipulation:不妊患者3928例のZSPTの分析から,男性不妊の予後が悪いのはその多くが精子の受精能力異常や受精能力障害(ZSPT0%)を合併するためであることが再確認された.またZSPT>30%,回収運動精子>3×10^6/ml,Velocity≧55microus/secがIVF遍応の目安となることがわかった.IVFの非受精卵を用いて顕微授精の臨床応用について検討した.透明帯開孔術(串刺法),囲卵腔内精子注入は安全かつ有効で,十分臨床応用可能であることがわかった.これに対して,卵子内精子注入は受精率,分割率とも低く,前核形成過程に問題があることが示唆された。
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