研究概要 |
電解式組織血流計による測定値は、水素ガス発生のための電解パラメ-タ即ち電解電流量(Id)と電解時間(Td)によって変動するため、予め最適な電解パラメ-タを決定する必要がある。そこで昨年度検討したId=3μA,Td=30秒に加え、本年度は5μA,30秒7μA,30秒10μA,50秒の3パラメ-タを設定し、測定値の再現性を、安静時のみとかみしめを伴う場合で検討した。計12名の被験者の習慣性咀嚼測咬筋を測定対象とした。一方、筋組織中の電極のかみしめによる移動から測定誤差が生じる可能性もあるため、電極移動の少ない冷却による咬筋血流量の変化も、他の3名の被験者で測定した。 その結果、安静時のみの測定値には日内変動はほとんど見られないが、10μA,50秒以外では日間変動が大きく、他日に測定した結果を比較するためには10μA,50秒が適当である。かみしめを伴う場合には、10μA,50秒以外では日内変動・日間変動が安静時に比べさらに大きくなる。それに対して、10μA,50秒の場合には、かみしめ後の血流量がかみしめ前に比べやや増加した。よって、かみしめ伴う場合に於いても10μA,50秒が適当である。しかし増加量は少なく、Xe希釈法によって報告されている急激な増加は確認出来なかった。この結果は第84回日本補綴歯科学術大会に於いて報告した。一方、冷却による血流量変化は良好に測定できた。よってこの血流計は、かみしめ等の電極移動が生じる可能性のある測定には不向きであると考えられる。さらに顎機能異常者への応用には、検討すべき問題点が多く残っていると考えられる。 また、デ-タをA/Dコンバ-タを介してコンピュ-タ-に入力し、解析する自動解析システムを確立し、解析速度・精度の向上が得られた。 上記の内容は現在 Frontiers of Medical and Biological Engineering誌に投稿中であり、更に平成3年中に学会報告を予定している。
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