研究概要 |
養歯床用PMMAレジンの補強にマクロ的補強法として繊維(炭素繊維;CFおよびアラミド繊維;KF)クロス複合によるもの、ミクロ的補強法としてアラミド繊維の構成分子(ポリパラフェニレンテレフタ-ルアミド;PPTA,ポリメタフェニレンイソフタ-ルアミド;MPIAおよびポリパラフェニレンー3.4'ーオキシジフェニレンテレフタ-ルアミド;PPOT)を用いた分子複合レジンの補強効果について研究を行った。 繊維複合による補強レジンでは曲げ、引張りおよびアイゾット衝撃強さおよび動的粘弾性装置(DMTA)によるE'およびtanδについて、また分子複合レジンでは歯科理工学的性質,TG,NMRによるT_1およびDMTAによるE',tanδについて測定した。 CFおよびKFクロス(共に0.1mm1枚複合)共に樹脂含浸処理(CFではエポキシ樹脂処理(ECF)、KFではクロロスルフォン化ラテックスレゾルシン樹脂処理(CLRKF)によるものが優れていた。処理剤の性質においてDMTAよりECFの場合、複合枚数の増加と共に処理剤量も増加するので、αピ-ク温度に低下が見られ重合条件に問題があった。CLR処理の場合、αピ-ク温度はほぼ一定で、tanδ値は複合枚数と共に低下し、優れた処理剤であることが解った。 次に分子複合レジンにおいては、DMSO+N_aH系より複合コア分子のN位にオクチル置換(Oct)によりMMAに溶解する改質ポリアラミド(OctーPPTA,OctーMPIA,OctーPPOT)が得られることを見いだした。そしてPMMAに3ut%複合したレジンの歯科理工学的性質を検討したところ3OctーPPTAーPMMA>OctーPPOTーPMMA>OctーMPIAーPMMA≧PMMAという順となった。この性質をTG,NMRによるT_1,およびDMTAによるコア分子の主鎖,側鎖の分子運動性およびPMMAとの相互作用について分子論的に追及したところ、分子の剛直性と補強性との関連が明らかにされた。
|