研究概要 |
前年度の研究実績報告書に記載したように,大学の新築工事にともなって実験動物舎も新たに建て直したため,平成元年5月から動物実験ができない状態が続いていた. 平成2年3月に実験動物舎が完成したが,設備の整備のため,6月から実験を再開した.当初,予測していなかった事態のため,実験が大幅に遅れ,現在,まだ実験が終了していない.今後の見通しでは,平成4年度中に実験を終了し,5年度中に論文として投稿する予定である. すでに述べたように,実験方法も少々変更したことも,実験期間が延長した原因となっている.すなわち,血管柄付き自家腸骨より,腓骨の方が骨の採取が容易なため,実験途中から血管柄付き自家骨を腸骨から腓骨へ変更した.しかし,骨膜が容易に剥離しやすく,果たして栄養血管によって骨が栄養されているかどうか,すなわち,血管柄付き骨移植になっているかどうかの判断が困難である.組織学的観察でも,必ずしも遊離の自家骨より血管柄付き自家骨の方が移植後の骨吸収が少ないとは言えないようであるが,この原因が上に述べたように骨膜が剥離したために生じたものか,現在のところ良くわからない.実験例数を増やすとともに,長期間の観察によって,移植後の改造変化が両者でいかに異なるかを明らかにしたいと考えている. 前回述べたもう1つの問題,すなわち包埋する樹脂を従来のLigorac樹脂から,染色性の良い新しい樹脂に変更した.本樹脂による染色標本の観察についても報告する予定である.
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