研究概要 |
モルモットのマクロファ-ジ(Mφ)と多形核白血球(PMN)はIgG2抗体に特異的なFcレセプタ-(FcR_2)と,IgG1とIgG2抗体を結合するFcレセプタ-(FcR_<1,2>)をもち,これらのFcレセプタ-を介して抗原抗体結合物を結合すると,食作用,NADPHオキシダ-ゼの活性化によるO^ー_2生成反応,ホスホリパ-ゼA_2の活性化によるアラキドン酸遊離反応を始動し,抗原抗体結合物を排除する。これらの反応を始動するMφとPMNのFcR_2と FcR_<1,2>の機能を調べ,次の事実を明らかにすることができた。1.MφのFcR_2を介する抗原抗体結合物の食作用は2時間で停止するが,FcR_<1,2>を介する食作用は8時間以上も持続する。この相違はFcR_2とFcR_<1,2>とも食作用の際に消費されるが,細胞内にFcR_<1,2>のプ-ルが存在し,FcR_<1,2>は補給されるが,FcR_2には細胞内プ-ルがないことによる。2.MφのFcR_2の介するNADPHオキシダ-ゼの活性化の経路には,プロティンキナ-ゼC以外のプロティンキナ-ゼが関与し,細胞内プ-ルからのCa^<2+>の動員に依存しない。一方,FcR_2を介する活性化の経路には,プロティンキナ-ゼCが関与し,Ca^<2+>の動員が関与しない経路と,Ca┣D12の動員とカルモジュリンが関与する経路の二つの経路がある。3.FcR┣D22┫D2を介するホスホリパ-ゼA┣D22┫D2の活性化は細胞内プ-ルからのCa┣D12+┫D1の動員に依存して起こるが,FcR┣D21,2┫D2を介する活性化は細胞外からのCa┣D12+┫D1の流入に依存して起こる。4.FcR┣D22┫D2のイノシト-ルリン脂質の代謝回転や細胞内プ-ルからのCa┣D12+┫D1の動員を始動する活性はFcR┣D21,2┫D2の活性よりも著しく高い。5.PMNのFcR┣D22┫D2とFcR┣D21,2┫D2の機能についても調べ,NADPHオキシダ-ゼとホスホリバ-ゼA┣D22┫D2の活性化を始動するFcR┣D22┫D2の機能はFcR┣D21,2┫D2よりも著しく高いこと,また,両レセプタ-に連関した細胞内情報伝達系が異なることを認めた。 以上の結果から,食細胞は異なるFcレセプタ-を使い分けて種Rの機能を発現することを明らかにすることができた。
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