研究課題/領域番号 |
01480508
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
看護学
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研究機関 | 国立公衆衛生院 |
研究代表者 |
星 且二 (1991) 国立公衆衛生院, 公衆衛生行政学部 室長 (00190190)
久常 節子 (1989-1990) 国立公衆衛生院, 公衆衛生看護学部, 主任研究官 (70100659)
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研究分担者 |
星 旦二 国立公衆衛生院, 公衆衛生行政学部, 室長 (00190190)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1990年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 地域ケア力 / リハビリテイション / 推進条件 / 保健行政 / 公的責任 / 地域ケア / 健康教育 / 推進要件 |
研究概要 |
この研究では、地域における健康を保持増進させていく条件の一つとして「地域ケア力」を研究テ-マとした。地域ケア力の概念規定としては、全ての人々が健康で生活するための環境を整える過程で、人々の役割、専門家の役割、そして行政の施策を統合した能力とした。この地域ケア力が形成され発展していく過程を3年間で調査研究し、地域ケア力の方法論を探ることがこの研究の目的である。 今年度は、研究の最終年度にあたり、これまでに示された、地域ケア力を構成する、3つの要素、住民の役割、支援者の役割、そして公的責任のなかで、主として公的責任に焦点をあてて、行政での地域ケア力形成発展過程を分析した。フィ-ルドは、地域ケア力形成発展過程のなかで長年の蓄積のある大東市を取り上げた。 大東市では、保健医療福祉センタ-内に、地域リハビリテ-ション及びノ-マライゼ-ション社会の実現を目指し、リハビリテ-ション課を設けた。市では、子ども達が校区で健常児も障害児もともに学び育っていくことを大切にすることから地域リハビリテ-ションが始まった。住民や支援者の役割としては、障害児をもつ母親たちによる肢体不自由児者父母の会を中心にした、市と交渉を重ねることであった。母親らの熱心な働きかけにより、教師や理学療法士あるいは地域住民なりを巻き込んで、市立の療育センタ-開設へと導いた。 市の教育委員会は1979年「障害児教育基本方針」を出し、障害児の校区小中学校での訓練及び通学を保障した。それを受けて小学校15校、中学校8校すべてに訓練室の設置、手すり、スロ-プ、トイレ等の改造を行った。そして、療育訓練が療育センタ-のみで終わることなく、継続してうけたいという強い親の希望により、引き続き小中学校において理学療法士の訓練指導と日々関わる学校教師による療育訓練が可能となった。 このように大東市における地域ケア力をみてみると、まず障害児に対するケアは、障害児をもつ母親による住民からの働きかけ、学校教師・理学療法士・地域住民らによる支援者の働きかけ、施設の確保、受け入れ体制の準備として、障害児教育基本法の制定、小中学校における改造等があげられる。 このように大東市における地域ケア力の構成要素として、上記の3つの役割があてはまる。つまり、住民の役割、支援者の役割、そして公的な責任である。 これらの地域ケア力が推進発展した、要因としては、一貫したリハビリを進める課誕生への働きかけが、職員にあったこと、同時に職員が、児童と老人のリハビリをつなぐパイプ役としての役割があったこと、それに、老人保健法により訪問リハ・通所リハの実施が義務づけられたことが抽出された。 リハビリ課が誕生することで、全ての住民がリハビリテイションの対象となり、ケア自体も福祉課、健康増進課、リハビリテ-ション課で在宅保健福祉サ-ビスの統合が図られるようになり、保健所、医師会民生委員協議会、社会福祉協議会、市(福祉課・健康増進課・リハビリテ-ション課)で共同事業として行えることとなった。その結果、リハビリテ-ションの総合性、継続性、一環性が得られるようになり、地域ケア力が推進発展していったと考えられた。
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