研究課題/領域番号 |
01480516
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
結晶学
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
三井 幸雄 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (40012637)
|
研究分担者 |
熊谷 泉 東京大学, 工学部, 助教授 (10161689)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1990年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1989年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
|
キーワード | プロテア-ゼ / プロテア-ゼ・インヒビタ- / 蛋白・蛋白相互作用 / 蛋白工学 / 蛋白質工学 / X線解析 / 結晶構造 / 蛋白質の立体構造 |
研究概要 |
(1)StreptomycesSubtilisinlnhibitor(SSI)とSubtilisinとの複合体の1.8A分解能での構造の精密化を行った.SSIがSubtilisinと結合すると、SSIの構造のある特定の部分(全体ではなく)のflexibilityが減少する。このflexibilityの減少は、Subtilisinと直接的に接触している“reactivesite"segmentだけではなく、このsegmentと共有結合またはvanderWaals接触によって隣接しているにすぎないsegmentsにも見られる。以上のように、複合体を形成することにより、Subtilisinの活性中心と直接接触する反応部位だけでなく、その周辺のポリペプチド鎖もリジッドになることが分かった。即ち、複合体形成に伴うSSI分子の硬化(rigidification)は分子全体に均一に起こるのではなく、局在化しているが、その部位は必ずしも標的酵素Subtilisinと直接接しているところとは限らないことが、はっきり示されたわけである。 (2)さらに遺伝子工学的手法によりSSIの反応部位P1(Met73)、P4(Met70)をそれぞれLys,Glyに変換した2種の変異SSI(Met73Lys)、(Met73Lys,Met70Gly)とSubtilisinとの複合体のX線解析を行った。SSIの反応部位P1及びP4のアミノ酸残基の変換により、Subtilisin側も静電的相互作用、vanderWaals接触などにより微妙に動くことが明かとなり、今後の蛋白質工学の指針となるであろう。 (3)上の述べた変異SSI(Met73Lys,Met70Gly)は、ウシのTrypsinとも複合体を作ることがわかった。そこで、この両者の複合体を作って結晶化した。このもののX線回折強度を、シンクロトロン放射光を使って測定し、分子置換法による解析を行った。その結果は、P1部位のLysの側鎖の正の電荷がTrypsinのS1ポケットのAsp189の負の電荷と直接水素結合を作っていることを示した。このように、ある一つの蛋白性インヒビタ-とプロテア-ゼとの複合体の構造が、2種類の全く異なる酵素、(SubtilisinとTrypsin)について解明されたことは、世界でも初めてのことであり、画期的的なことである。今後、更に両複合体の構造の詳細な比較を行いたいと考えている。
|