ラット肝臓より実質細胞の類洞膜側と毛細胆管膜側の膜を分離採取した。精度は前者で95%以上、後者で85%以上であった。vesicleを作製後内外の無機イオンを変化させ、胆汁酸(タウロコレ-ト)とビリルビンの移送を検討した。膜移送には無機イオンとの共軛移送が関与するとされているが、我々は電位感受性色素3-3Dipropylthiocarbocyanine iodideを用いて検討した。類洞膜側vesicleでは胆汁酸はナトリウムとCotransportすることが以前の報告と同様に明らかであった。一方、ビリルビンはナトリウム濃度との関係はえられなかった。毛細胆管膜vesicleではNa、K濃度とは無関係に胆汁酸、ビリルビンは移送された。現在、他の無機イオンについても検討中である。 我々は近年遺伝性胆汁うっ滞ラットを見出した。外口ではJansenらの報告がみられるのみであるが、現在両者の違いについて検討中である。本ラットは小胞体より胆汁分泌に至る有機陰イオンの移送障害と考えられるが、細胞骨格系に異常は認められない。現在ビリルビン、ICGの肝での除去能、ポルフィリン代謝、胆汁酸(主としてタウロコ-ル酸)の肝除去能について検討し、同時に形態学的検討も行なっている。現在迄のところJanssenラットとほぼ類似の胆汁うっ滞ラットと考えられる。現在このラットについて同様に類洞膜、毛細胆管膜を分離し、Uesicleを作製。さらに正常のラットvesicleとの差異について検討している。
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