研究概要 |
1)一連の有機ランタニド錯体がMMAの立体規則性重合触媒となり従来達成できなかった分子量が10万以上でしかも単分散性のポリマ-が収率よく合成できることを見出した.さらに有機ランタニド錯体でエチレンの重合を行った後に極性モノマ-であるMMAやラクトンを添加した場にも重合が起こり従来合成が不可能であった無極性モノマ-と極性モノマ-のブロック共重合が実現した。ポリオレフィンの改質に重要な知見を与える。 2)有機金属ポリマ-や高分子錯体の不活性ガス中での焼成により,超微粒子金属が均一に分散した炭素複合材が得られることを見出し一部報告してきたが,本研究ではこの反応を拡大しほぼ全ての遷移金属化合物に適用した.貴金属の場合には極めて粒径の小さい超微粒子金属が分散した炭素材が得られた.対応する物質を合成するためにピッチと有機金属化合物の混合物の焼成を行なった結果,良好な残炭率で超微粒子均一分散炭素複合材を得た。Rh,Pt微粒子含有炭素材はオレフィンの水添触媒として優れた活性を示し,Ag含有炭率素材は大腸菌や枯草菌に対して優れた抗菌作用を示し実際的応用も期待できる。 3)5族遷移金属錯体に存在する機能を評価するために新たにアルキン錯体の合成を行なった.既にジエン錯体,アリル錯体の合成を終っておりその特徴を明らかにしている.ニオブのエチレン錯体を原料として一連のアルキンと反応を行ない反応形成を整理することができた.生成物の構造解析はNMR,X線解析による.Cp_2NbC_2H_5(2ーブチン)錯体については珍らしいαーアブスチック結合が見出された.ニオブのカルベン錯体形成反応の前駆体と見なすことができ,新しいカルベン触媒設計の手がかりとなる。
|