研究概要 |
マレ-シアは、マレ-人が多数を占め、イスラム教を國教とするが、マレ-シア華人も人口の32〜42%を占めると言われ、強い経済力を背景にかなりの力を有する。華人は中国分化をもち込んでおり、奉ずるところの宗教も、仏教が多い。かれらの仏教は、純粋な仏教と言うよりは、儒教や道教と混沌した仏教である。仏教は、異国の地で生きるマレ-シア華人のアイデンティティ-を形成する重要なファクタ-であり、長い間には、華人独自の文化を形成することになる。 マレ-シアにおいて、イスラム教が國教となったのは、1957年であり、マレ-人有線の政策がとりはじめられた、マレ-シアにはすでに1951年にはWorld Tellowsbip of Buddhists Penang Centerが設定されていたが、1959年以後になるとMalaysion Budhit Association(ペナント)やTaiping Buddhist Sosiety(ペラ州)が設立され、その後全国的な規模で各地に「仏教会」(Buddhist Society)の設立を見、組織化された。 また諸大学における仏教の組織的な活動も盛んであって、学生のほとんどがマレ-人であるNational Universityを除き、他の四つの国立大学にもBuddhist Societyが組織されるにいたった。 イスラム教の下でマレ-シア華人が仏教を組織化したのは、インドネシアにおいて仏教が組織化されたのと無関係ではないであろう。特に在来の中国仏教が、上座仏教と共に受容され、総合仏教の様相を呈している点が指摘される。若い青年層は、漢文よりも英語に親しむものが多い。従って、漢文による中国仏教よりも、英語に訳されたものの多い上座仏教の受容がより容易であるように思われる。このことは,マレ-シアにおいて華人の間に,新しい仏教文化を形成していく可能性を示すものであろう。
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