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バロック期における修辞学と美学

研究課題

研究課題/領域番号 01510033
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 美学
研究機関東京芸術大学

研究代表者

篠原 資明  東京芸術大学, 美術学部, 講師 (60135499)

研究期間 (年度) 1989
研究課題ステータス 完了 (1989年度)
配分額 *注記
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワードバロック / 修辞学 / 美学 / 鋭戯 / 綺想 / 才知 / 近代 / 隠喩
研究概要

西洋のバロック期において、伝統的修辞学のただ中から近代的な美学的思考の生成する興味深い場面が、スペインのグラシアンとイタリアのテザウロの著作のうちに見てとられる。
グラシアンの場合、イエズス会の学院で教育にたずさわったところからも推察されるとおり、イエズス会の教育計画に組み込まれていた修辞学の伝統は彼のうちに浸透していた。彼の偉大なところは、そのような修辞学に根ざす概念を用いて、近代美学を先取りするような思想を展開したことである。その概念とは、鋭戯(agudeza)・綺想(concepto)・才知(ingenio)の三つである。この三つは、ともに美に関わるものとして考えられており、しかも修辞学の枠内には収まりきれない対象を扱おうとするものである。さらにグラシアンは、古代に対比して近代の本質を新しいものの追求にあると看破し、近代的な歴史観の形成にも寄与している。ただ彼の思想は古代を忘却のうちに捨て去ろうとするものではなく、古代の記憶の上に近代を位置づけようとする。この立場は確かに微妙なものではあるが、見方によっては、モダン(近代)とポストモダンとの不毛な対立を越えた立場を指し示すものとして、きわめて現代的ともいえるものだ。
テザウロも、おおむねグラシアンと同様の思考の跡を示しているが、彼の場合、注目に値するのは、隠喩という修辞学的な概念を用いて、諸芸術を統括する態度を示していることである。もちろん、まだ17世紀のことであるから、芸術という語が内包する意味領域も、今日のようには定まってはいない。しかしテザウロが記号論的な芸術理論の試みを見せていることも含めて、今日の拡散する芸術状況にアプロ-チする一つの有効な立場を示唆しているとも思われる。

報告書

(1件)
  • 1989 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 篠原資明: "エ-コと中世" ユリイカ. 21巻6号. 174-178 (1989)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 篠原資明: "バロック期における視覚的なものと言語的なもの" イタリア-ナ. 19. (1990)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 篠原資明: "『トランスア-ト装置』" 思潮社, (1990)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 篠原資明ほか共著: "講座・20世紀の芸術8『現代芸術の焦点』" 岩波書店, (1990)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書

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公開日: 1989-04-01   更新日: 2016-04-21  

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