研究課題/領域番号 |
01510048
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
御領 謙 千葉大学, 文学部, 教授 (70008960)
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研究分担者 |
江草 浩幸 千葉大学, 文学部, 助手 (90168774)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 視覚的統合 / 視覚的安定性 / 眼球運動 / サッケイド |
研究概要 |
サッカディックな眼球運動の生起により、網膜は一秒間あたり数コマの静止画像を受け取っていると推定できる。そのめまぐるしい変化にもかかわらず静止した安定な視覚的世界が知覚されている。この視覚的世界の安定化に寄与している機制としては主に次の2つが仮定されている。 1、網膜像の移動量を眼球運動量により相殺し、動き情報を消し去る機制があると考える。 2、時々刻々と入ってくる網膜像情報が中枢的な認知過程において統合されて視覚的世界が形成されると考える。 本研究は特に2の可能性を探るために計画された。外界の視空間上では同じ位置であるが、サッケイドをはさむと網膜上ではまったく異なる位置に投影されるように2刺激を継時的に提示し、その見えを観察した。明室においてはサッケイドの後にも前にも十分な視空間の枠組みが与えられるので、その枠組みを利用してサッケイド前後の網膜像は容易に定位でき、同じ視空間上に提示された刺激は、網膜上の位置は異なるにもかかわらず、同じ位置で合成されて知覚されるであろう。一方、完全な暗黒中では中枢的な視覚的統合に必要と考えられる空間枠組みが存在しないために、網膜像位置に依存した知覚が成立し、視空間の同じ位置に継時的に提示された刺激もサッケイドをはさむと異なる位置に提示されたように知覚されるであろう。このような仮説のもとにサッケイドをはさんで垂直線分と水平線分とを提示し、その交点の位置を推定させる実験をおこなったところ、ほぼ完全な暗黒中にあっても外界視空間に対応した知覚的判断の成立することが明かとなった。これは上記2よりも、1の機制の働いていることを示唆する結果であるといわざるを得ない。なお、本研究における眼球の位置の測定には光学的方法と、EOGによる方法とを併用した。
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