研究概要 |
本研究は,高校生の学習様式の実際を捉えた上で,それを指導する教師の指導様式との関連性を吟味することを主な目的としている。高校生の英語学習の目的と,その目的に応じた学習様式の関連性について検討した初年度の結果から,英語の学習様式は,英語を大学受験のために必要な教科としてのみ学習しているものと,将来英語を必要とする職業につきたい,あるいは専門的に勉強したいとするするものとでは,明らかに異なることが示された。さらに,英語学習に対する意識・動機づけの様相にも違いが認められた。 この結果を受けて,第二年度,最終年度には,生徒の学習目的に応じた指導様式とは,どのようなものであるか,その具体的な様式について検討してきた。まず,学習様式について詳細に分析し,指導様式の質問紙を作成し,学習目的に対応した指導様式について調査を行なった。最終年度には,この学習様式と指導様式について総合的に分析を行なった。その結果,生徒の学習目的に応じて,それを指導する教師が重要であると考える指導方法に相違がみられることが明らかになった。さらに,現在の高等学校での一般的な英語の学習指導方法は,大学の受験をめざした指導方法と一致し,英語を将来にわたって活用しようとする場合の指導方法とは趣を異にしていることが示された。 したがって,高等学校に英語学習においては,生徒の英語の学習目的によって必要とする学習様式,さらには,学習意識や動機づけも異なっており,それに対応した指導様式があるといえる。しかし,教師自身は,生徒の個々人の学習目的・学習様式に応じた指導様式があると考えているが,現在の教育現場では,大学受験を中心とした指導方法が多く取られていることが示唆される。
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