研究課題/領域番号 |
01510063
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三浦 利章 大阪大学, 人間科学部, 講師 (00116104)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1989年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 技能 / 注意 / 視覚探索 / 眼球運動 / 省力化・自動化 / 検査作業 / 視覚情報処理機構 / 視覚走査 / 視覚運動協応 |
研究概要 |
〔目的および経緯〕当研究は、我国の生産現場性の急速な省力化、自動化のなかでの技能の変化を鑑み、自動化の困難な人間固有の高度な作業技能の特質を明らかにすることを目的とした。初年度には、文献的調査と生産現場視察を行ない、ビ-ル生産工場での最終検ビン作業に焦点を絞り込み、予備実験を行なった。次年度には、初年度の成果に基づいて、検ビン作業時の眼球運動を記録・解析した。具体的には、NACIV型で測定し、ビデオレコ-ダ-で記録、解析した。 〔主な結果〕調査と視察の結果、最終工程に行われる検ビン作業は、幾種もの微妙な傷や不純物をほとんど見逃すともなく高速に行なうというきめて高度な技能が要求されるものであり、それゆえに、当面自動化が困難で、同時に作業者の精神的疲労はきわめて大きいVIGILANCE TASKであることが明らかになった。このような高度な技能を支えている作業者の資格情報獲得・処理機構は、以下の特質を持っていることが眼球運動実験から明らかになった。 1.検ビン作業時の平均注視時間は約175msecというきめて短いものであり、読書時や通常の視覚探索課題での注視時間の約半分という、一般の作業時からは想像されないような高速の視覚走査が行われていることが明らかになった。人間の眼球運動能力の限界での作業が行われているのである。2.このような超高速視覚検査(探索)を可能としている重要な処理機構として、下記の二点を考えなければならない。その一つは、高度な検査技能を獲得した作業者は技能未獲得者よりもずっと広い有効視野を形成、保持していることである。すなわち、きわめて微妙な不良の微候を処理しうる広い有効視野の働きである。いま一点は、運動する微妙なキズを周辺視野で高感度に捉えていることである。故に、3.ポイントは有効視野での微妙な検出機構(PATTERN MATCHING)と、それをさらに支えるの運動成分対象(A FACILITATORY MOTION FACTOR)と言える。 ここに得られた結果は、基礎研究上では、人間の高度な視覚技能の解明の糸口を与えたものであると同時に、応用的側面としては、検査作業時の疲労の解明に示唆を与え、また、このような検査作業の自動化にも示唆を与えた貴重なものである。
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