研究課題/領域番号 |
01510073
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 山口女子大学 |
研究代表者 |
三島 正英 山口女子大学, 文学部, 助教授 (80094738)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 対象の永続性 / 認知的発達 / 空間定位 / 運動発達 / 乳児 / 縦断研究 |
研究概要 |
乳児期の対象概念(object coccept)形成と、それにかかわる要因の発達的連関を検討するため、3観察を実施した。観察1では対象の永続性(object permanence)形成と這うことによる移動手段の獲得との発達的連関の検討を試みるため、生後1カ月から4カ月の乳児6名に対し、約9カ月間の縦断観察を半月おきに実施した。その結果は、各被験児の這い始めを基準にしてUzgiris-Hunt尺度を中心とした対象の永続性形成の水準を検討した場合、両者の間に密接な連関が窺われるものであった。すなわち、這うという手段の獲得によって可能となるスクリ-ン背後の探索経験が、対象の永続性形成にポジティブに作用を及ぼすことが示唆された。観察2では、対象の永続性形成の下位要素とみられる触覚的永続性と視覚的永続性の連関の様相を検討した。観察1と同じ被験児に対し、見たものをつかむという行動が成立する生後4カ月頃から9カ月頃までの間、対象を被験児が手にした瞬間、その手と対象をカバ-で覆うという両者の葛藤課題を設定し、それへの反応を分析した。その結果、初期の段階での両者が協応しない時期から、触覚的永続性への依存、そして両者の協応へと進む過程が明らかにされた。観察3では、対象の永続性形成と歩行の成立による移動手段の獲得との間の発達的連関を検討するため、生後9カ月前後の乳児10名に対し、半月おきの縦断観察を生後15カ月ころまで実施した。歩行の成立を基準にして、その前後のUzgiris-Hunt尺度を中心とした対象の永続性得点の推移を検討した結果には、一時的な後退及び停滞が認められた。このことは、歩行成立前後に、乳児の空間探索方略が実際的・感覚運動的なものから概念的・表象的なものへと移行していくことを示唆するものと思われた。
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