研究課題/領域番号 |
01510089
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 樟蔭女子短期大学 |
研究代表者 |
金川 智恵 樟蔭女子短期大学, 一般教育, 講師 (70194884)
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研究分担者 |
吉田 敦也 大阪大学, 人間科学部, 助手 (50191573)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
1989年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 日本的自我 / 内面化された対人行動 / 有声身振り / selfーdescriptive utterance / 自我の発達過程 / 日本的コミュニケ-ション / アイデンティティ |
研究概要 |
日本的自我の発生機序について実証的検討を行ったところ、主として以下の4つの結果が得られた。(1)自我の発達過程には、内面化された対人行動のなかで想起する他者の反応の違いに応じて4つの発達段階が認められる、(2)対人行動の内面化に、有声身振りの果たす役割が重要である、即ち、自分の動作を、「ぼくのぼった」などの様に、自分で発話し、それを聞きながら行動することが対人行動の内面化(あるいは自分を対象化すること)に有効である。また以上のような有声身振り、或はselfーdescriptive utteranceは2才から3才の間に頻発し、いわゆる大人の、必ずしも「主語」を常用しないという日本語のコミュニケ-ション様式とは異なった様相を呈している、(3)「主語」などの自己関連語の理解、使用と内面化された対人行動のエラボレ-ションに関連性が認められる、(4)(3)で述べた発達の過程は一次関数的な様相ではなく、自己関連語の理解の時期(19ケ月頃)とその使用、及び有声身振りの発現の時期(27ケ月頃)にドラスティックな変化を生じるというような性質のものである。以上のような知見を基に今後は、母親(或は主たる養育者)が乳幼児にかかわるときに、どのような行動的戦略を用いると自我の発達に貢献できるのかということを、主として検討する。その視点は、(1)本結果(2)のことについて、「主語」を常用しないという日本的コミュニケ-ションの特徴との関連でさらに詳細に検討する。即ち母親が2〜3以前の幼児にかかわるときには、大人とのコミュニケ-ション様式とは異なり、「主語」と「述部」を明確に用いたコミュニケ-ションを行えば、幼児が、行動の主体、その行動の内容、その行動が向けられる対象(他者)の関係性をより明確に理解できる可能性がある、(2)このことが成立するのであれば、母親の養育のありかたが自己意識の明確化を促進できる可能性がある。このことは青年期のIdentity確立の問題解決とも関連しよう。
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