研究課題/領域番号 |
01510090
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 国立教育研究所 |
研究代表者 |
中垣 啓 国立教育研究所, 教育指導研究部, 室長 (00124181)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 仮説演繹的推論 / 4枚カ-ド問題 / 内容効果説 / 違反点検説 |
研究概要 |
仮説演繹的推論における文脈効果を調べるため、4枚カ-ド問題における内容効果説と違反点検説の批判的検討を行った。内容効果説に関しては、この問題で扱われる素材(具体的には、条件文「箱の色が赤ならば、みかんが入っている」の中に出てくる箱と果物)のリアリティ-を変化させたとき、課題のパフォ-マンスがどのように変わるかを小学校各学年10名ずつ計60名の被験児について個別的に調査した。その結果、(1)実物の箱と果物を用いるとき、(2)絵に描かれた箱と果物を用いるとき、(3)文章のみで提示するときという3条件で4枚カ-ド問題を実施しても3条件において有意な差異はないことが分った。つまり、実物の箱や果物を用いることによって課題のリアリティ-を高めても、課題のパフォ-マンスが高められることはなく、われわれの予想通り、内容効果説は実証的にも疑わしいことが明らかとなった。特に、小学校低学年においては、課題のリアリティ-(現実性)を高めることは却って可能性の世界と現実性の世界との混同を招き、課題では条件文を1つの仮説(可能性)として、論理的に推論することを求めているにもかかわらず、未知の情報(箱の色や中味)が現実にどうなっているのかを当てることを求められているかのように反応する者が多かった。違反点検説の批判的検討に関しては、中学2年生1クラス(37名)を対象にして集団的に調査を実施した。その結果、4枚カ-ド問題の条件文を仮説として与え、その真偽の検証を求めても、条件文を規則として与え、その違反点検を求めても、条件文の理論的変換に関するパフォ-マンスにはほとんど差異がなかった。この結果は、われわれの予想に反するものであったが、課題が単に仮説検証型か違反点検型かどうかでは被験児に違反者探しの構えをとらせることが十分にできず、カ-ド選択の教示そのものをも変える必要があることが示唆された。
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