研究課題/領域番号 |
01510113
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | いわき明星大学 |
研究代表者 |
大鐘 武 いわき明星大学, 人文学部, 教授 (60128840)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 社会学的近代認識 / ゲオルク・ジンメル / エミ-ル・デュルケム / フェルディナント・テンニエス |
研究概要 |
研究計画は、ジンメルとテジュルケムとテンニエスという、「世紀の転換期の世代」を代表する三人の社会学者における社会学的近代認識(個人と社会の関係の問題)の比較検討として実施された。そして、三者の異同を明らかにするための資料として、ジンメルの「個別的法則。倫理学の原理に関する一試論」(1913年)、デュルケムの「人間性の二元性とその社会的諸条件」(1941年)そしてテンニエスの「近代における個人と世界」(1913年)という、いずれも自己の社会学を展開し終わったあとの、ほぼ同時期に取り組まれた三つの著作を選び、これらを中心にして他の諸著作をも参考にしながら読み込む作業をおこなった。 ジンメルとデュルケムについては、主として、両者のカント対決を手懸かりにして両者の近代認識を明らかにしようとした。その結果、両者の出発点における相違が個人の把握にあい、この相違に規定されて、ジンメルでは、全体としての個人が社会学理論の出発点にあって、その延長線上で近代における個人の自律が最終的に哲学的に根拠づけられることになったこと、これに対して、デュルケムでは、社会に依存する部分としての個人が社会学理論の出発点にあって、この理論の正当化として、個人の内面に社会が存在することのうちに、いわば社会の自律が根拠づけられることになったことなどを明らかにすることができた。 ジンメルとの関連でテンニエスについていえば、両者には中世との対比において近代を社会学的に解明しようという点で共通項があること、そこでは個人はともに孤立した個人としてつかわれていること、しかし、テンニエスでは、個人はゲマインシャフトの内部からあらわれるから、これに対立するゲゼルシャフトの形成者かつ担い手として、「新たな普遍」とのかかわりの下で把握されている点にジンメルとの相違のあることなどを明らかにすることができた。
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