研究課題/領域番号 |
01510121
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
西村 みはる 関東学院大学, 文学部, 専任講師 (40139366)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 救済事業 / 社会事業 / 慈善事業 / 社会事業実践 / 博愛社 / 小橋勝之助 / 心学 / 感化学 |
研究概要 |
本研究は、戦前における婦人と児童を対象とする救済事業、社会事業が、いかなる着想と構想のもとに社会事業実践を生みだし展開していったのかを検討するために、特定の施設を対象に、その創設までの経過、設立后の展開過程を実証的に研究することを目的としている。対象としてとりあげたのは、日本における最も古い育児施設の1つである博愛社である。そして当該年度では、まず今日に至るまでの同施設の社会事業実践の基盤がどのように形成されていったのかを明らかにするため、時期を創設期に限定し、博愛社創設期に関する資料の収集を主として行った。とりわけ、同施設の創立に至る経緯には、創設者小橋勝之助の生涯と思想が深くかかわていることから、本年度は小橋勝之助の個人記録(日誌 雑記帳 書簡 メモなど)を発掘蒐集し、その整理と一部の翻刻を行った。また小橋の出生地であり、博愛社の創設地でもある兵庫県相生市における地域の資料の収集、関係者遺族へのききとり調査、後継者である林うたの遺族へのききとり調査を実施して資料の補足に努めた。小橋の残した個人記録の解説、分析を試みた結果、初め医学を志した小橋が慈善事業にいきつくまでの間に、医学から公衆衛生へ、さらに心学、感化学へと、著しくその関心を転回させていることがわかった。また宗教的にも、激しく求道し続け、神道や仏教に傾倒しながら、結局キリスト教の信仰に入り、慈善事業との接点を得ていったことがわかった。小橋の博愛社設立の原点には、自分自身の健康という極めて個人的問題への関心があったが、それが次第に社会的な問題へと転化していく過程で、博愛社の構想が形成されていったものと考えられる。
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